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story92 ページ44

夜になり、ホームとは違うアジトに戻ってきたフェイタンはベッドに寝転がり仰向けになり、天井をじっと見つめていた。


(あの時…あの場所…)


初めて人を殺した時の、優越感。支配感。快楽ともいえる快感。返り血にそまった手を見てこらえきれない笑いがこみ上げてきて、どうしようもなく愉快な気分になった日の夜の事。アジトに戻ったフェイタンと最初に邂逅したのが、Aで。


『フェイ?どうしたの?そんな血まみれで』
『……ククッ…きと、Aには理解不能ね』
『あ、ひどい。言いもせずに決めつけるなんて』


子どものころから流血沙汰には慣れ親しんでいたからか、返り血にひるむ様子もなかったAはとことこと歩いてフェイタンに近寄ってきて。ポケットから取り出したハンカチで、フェイタンの頬を拭った。


『それで、何かいいことでもあったの?妙に上機嫌じゃない』
『…人を殺したね』
『ふーん』
『…気持ちよかたよ。ハハ…すごく、楽しかたね』
『へーぇ。よかったじゃん。フェイタンっていつも、つまらなさそうだったし』


なんでもなさそうに言いながらも、その指が微かに震えていることに気づく。その瞬間、加虐心がこみ上げてきて。


『ワタシが怖いか?A』
『うん』
『素直ね』
『隠してもしょうがないもん。…私はきっと、人を殺して楽しいと思えるとは思わないしね』
『理解できないか?』
『うん。…でもね』


終わり、と言わんばかりに肩をぽんと叩かれた。顔についていた返り血がすべて拭われたのは、代わりに赤黒く染まっていたハンカチが示している。それをポケットにいれたAは、いつもの、まるでひまわりのような太陽のような笑顔を浮かべて。


『私はどんなフェイでも、フェイが好きだから。それでいいと思うよ』
『ワタシがAを標的にするかもしれないのに?』
『うーん…それはちょっとごめんこうむりたいかも。でも、フェイが楽しいと思うものはやってみたいし理解したい。仲間だし友達だし、命の恩人さんだしね』


ダメかな?と聞かれたときに、悟った。この女はすべてを受け入れようとしているのだ。そのことについて、どうしようもなくうれしく思って。


『なら今度はAもついてくるといいね』
『そうしたいな』
『ただし、足手まといになたら殺すよ』
『ははっ、そうならないよう念の修行も頑張りまーす』


(こわがりながらもそう笑顔を浮かべる)
(Aがどうしようもなく欲しい)

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- とても面白いです!つづき楽しみにまってます!頑張ってください、応援してます! (2020年4月6日 12時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます!ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が!まだわかりません!(←)でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません!いつもありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです!早く更新停止が終わることを願ってます!頑張ってください! (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月10日 18時

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