story77 ページ29
そのまま抱きしめられて、数分。
「ねぇ、フェイタン」
「何ね」
「私、笑えないくらいに何も思い出せない」
「…そうか」
彼の腕の中でそう呟くと、あからさまに落胆した声が聞こえた。ぎゅっと腕に力がこもる。
「でもね、私はここにいたいと思う」
「…何故よ?」
「殺されちゃうから…って言うのは建前。やると言ったら旅団はやるんだろうけれど…それはわかっているんだけど」
「本音は?」
「…私がここにいたいと思ったから」
「そうか。ならいればいいよ」
死ぬまで。その瞬間まで、仲間でいればいい。彼はそう呟いた。
「ずと、ワタシのそばにいればいいよ」
「…なんか趣旨変わってない?」
「どうでもいいね。ワタシはAがそばにいれば」
「……自分でいうのも何なんだけど、フェイタンって本当に私の事大好きだね」
「愛してるからな」
「…愛、してる、か」
恥ずかしくて腕から逃れようとしたら、逃がさないと言わんばかりにさらに腕に力がこもる。
「痛い、痛い痛い」
「痛いくらいがちょうどいいね。お前は気づいたら、どこかに行てしまうよ。…もう、あんなことは二度とさせないね」
「…聞いてもいい?私が、記憶を失ったっていう事件のこと」
「……あぁ」
そこでようやくフェイタンは、Aの身体を解放した。地面に座ると、ポンポンと隣の地面に座るようたたいて促す。素直に隣に座ったAをちらりと見てから、空を見上げた。きれいな、青空を。
「…ヘリごと、奪う。ただそれだけの仕事だたよ」
「何を?」
「興味なかたから、もう忘れたね。…人だたのは覚えている」
静かなフェイタンの声が、Aの耳を心地よく打つ。
「後から知た話ね。ワタシ達、依頼人に利用されたよ。本当の目的は、蜘蛛を殺すことだたね。その仕事、本来はワタシとフィンでやるはずだた。でもワタシもフィンもヘリの操縦覚えるの面倒だたよ。だからAが覚えて、一緒に仕事をすることになた」
「そっか。ひどいな、フェイタンもフィンクスも」
「はは、あの時のAもそんなこと言てたよ」
(仕事の内容を詳しく覚えていなくても)
(あの時の…いや、いままでAとした会話はすべて覚えていたから)
(昔語りに不自由はしなかたね)
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累 - とても面白いです!つづき楽しみにまってます!頑張ってください、応援してます! (2020年4月6日 12時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます!ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が!まだわかりません!(←)でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません!いつもありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです!早く更新停止が終わることを願ってます!頑張ってください! (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月10日 18時