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story69 ページ21

だぁんっ、と大きな音がして、扉が乱暴に開けられる。仁王立ちしているのはフェイタンとクロロ(プライベートモード)。


「A。いま蜘蛛を抜けると聞こえたが?」
「そんなのダメね、許さないよ」
「ちょっ、なんで二人が!?つか盗み聞きしていたの!?」
「アジトにいるからて、気を抜きすぎるお前が悪いね」
「絶もしていなかったし、シャルナークは気づいていただろ」
「ま、ね」
「シャルナークまで!?」


油断大敵、とはまさにこの事。ひどい、と泣き崩れる振りをするAを、三人は冷ややかに見ていた。


「「「自業自得(ね)」」」
「おっしゃる通りです…」


うなだれるAの横で、シャルナークがクロロへと視線を向け直す。


「それでクロロ。俺かAに、何か用事があって、来たんじゃないの?」
「あぁ、いろいろとあったが、目的は無事果たした。それについて手伝ってくれた礼を言いたくて。…あとは、謝罪もだ」
「謝罪?」
「知らなかったとはいえ、俺の些細な悪戯心からAと因縁のある相手に対して隙を作ることになってしまった。その結果が、…その、アレなわ」
「思い出さないでええぇぇええ!」


微かに赤くなった彼の頬に、Aの悲鳴が木霊した。驚いて言葉を止めたクロロと、五月蝿そうに耳を塞ぐフェイタンとシャルナークを見て、はっと我に返る。


「……ごめん、続けて…」
「…ぁー、うぉっほん。まぁとにかくだ。手伝ってくれてありがとう。それと、嫌な思いをさせてしまって済まなかった」
「……いや、その…うん。どういたしまして…」


他に返す言葉が見当たらずそう返事をすれば、ニコッと笑ったクロロが燃えるような赤い髪をよしよしと撫でてくれた。


(多分その時はじめて)
(私は『過去の私』の事を正面から気にかけるようになった)
(クロロの優しい顔が、大きな手のひらが)
(どこか懐かしくて…泣きそうなくらい懐かしくて)

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- とても面白いです!つづき楽しみにまってます!頑張ってください、応援してます! (2020年4月6日 12時) (レス) id: 7d54cdb775 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - 由宇さん» コメントありがとうございます!ちょいちょい停止しますが必ず書き上げますので、どうぞよろしくお願いいたします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ここっちさん» もうちょいで記憶が!まだわかりません!(←)でも長い目で見ていただければと思います、よろしくお願いします! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - ゆっずーさん» 遅くなりまして申し訳ありません!いつもありがとうございます!これからも頑張りますね! (2018年8月26日 14時) (レス) id: 94f5b58c39 (このIDを非表示/違反報告)
由宇 - 面白いです!早く更新停止が終わることを願ってます!頑張ってください! (2018年8月15日 11時) (レス) id: 06761224f9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:灯霧 | 作成日時:2017年7月10日 18時

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