Story45 ページ46
ひとしきりぱちぱちとキーボードを叩いていたら、背後に気配を感じて振り返る。無一郎君がじーっと画面を見ていた。
「どうしたの?」
「ちょっと飽きたから気分転換。……A、これはなに?」
どうやらパソコンに興味を持ったらしい。ほうほう、興味津々って感じですな。急を要する経理関係は終わったし、少しくらい息抜きするか。
「ふっふっふ。これはパソコンと言ってね、色んなことが出来る素晴らしいカラクリなのですよ」
「ふーん。僕にも使える?」
「やり方さえ覚えればね。……やってみたい?」
「うん」
何この子、素直。お姉さん鼻血出そう。可愛い。しのぶちゃんとは別の意味で可愛い!
古すぎてほとんど使っていないパソコンを起動して、彼に手招きをする。パソコンの前の椅子に座るよう促したら、ちょこんと座った。可愛い。
「何がしたい?とりあえず入門なら、文字の入力とかお絵描きとか…」
「このカラクリで、絵をかけるの?」
「操作に慣れればね」
丸い目をもっと丸くして驚く彼、ほんと、尊い。私オタクじゃなかったけど、その道に足を突っ込んでいる気がする。簡単に操作説明してから、ソフトを立ち上げて画面の上にカーソルを滑らせて。
「ほら、こんな感じ」
「……凄い」
目がキラキラしてるよ!愛いね!パレットを使って色を変えたり太さを変えたり、ブラシ効果を使ってみたりして。その度に彼が驚くのがわかる。
「ほら、やってみ?」
「……うん」
ごくん、と唾を飲み込んで、彼がたどたどしくカーソルを動かし始めた。最初はクリックしたままというのができなかったようだが、すぐにそれも出来るようになって。私なんかよりスムーズに、マウスを動かす。そりゃ私、左手で動かしていましたからね…でもガチ初心者より出来ないとか、ちょっと落ち込むわぁ……。
多分楽しんでくれているんだろう。木らしきものを描き始めた彼の横で、私は電卓を弾き始めた。かち、かち、という無一郎君が奏でる遅いリズムと、トントントン、という私の奏でるリズムが重なる。
(事務所に誰かがいるなんて久しぶりで)
(それを少し嬉しく思った)
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コサキ(プロフ) - ち◯こさん» あと名前変えろ。きっしょ。 (2月19日 22時) (レス) id: d52feb45e3 (このIDを非表示/違反報告)
コサキ(プロフ) - ち◯こさん» お前の事違反報告したから。お前の方こそ暇人やろ。 (2月19日 22時) (レス) id: d52feb45e3 (このIDを非表示/違反報告)
るるる - ち◯こさん» あなたの方がおもんないで。もうやめとき虚しいから。 (2月13日 1時) (レス) id: b7b0607f35 (このIDを非表示/違反報告)
灯霧(プロフ) - コサキさん» おおっとぉ!?ご指摘ありがとうございます!修正いたしました! (2022年1月13日 22時) (レス) id: 58548306cb (このIDを非表示/違反報告)
コサキ(プロフ) - 1995年は平成7年ですね。 (2022年1月13日 21時) (レス) @page12 id: beb81ab5f5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:灯霧 | 作成日時:2020年2月11日 16時