案外全てが単純なのかもしれない ページ16
「すまんな、硬っ苦しい親父で」
『あ、いえ...お義父様になる方ですし...』
「あんなんお義父さんとか呼ばんくてええよ、気色悪い。さ、買いもん行こ」
膝に手を置き立ち上がる
私もコネシマさんに続いて屋敷を出た
行きと同じく木製の大きな門を通るとまた黒い車が待っている
未だに慣れないエスコートを受けてふかふかのシートに腰掛けた
婚約届けはいとも簡単に通った
こんな簡単にこんな親密な関係になれるだなんて
世界は案外単純な作りをしている
また車が止まってされるがままに下車した
見慣れた景色が広がっていた
『ここ...私の家ですよね、なんで知ってるんですか?』
「俺らの情報網舐めたらアカンで。ほら、服とか大事なもんとか取らんと」
そう言ってマンションロビーに入っていく
ヤクザってすごいんだなぁ...小並感。
鍵を開けると私よりも先にコネシマさんが入っていってしまった
『あ、ちょっとコネシマさん!』
「うわーなにこれ。ばちくそ物少ないやん」
『必要なものだけで生活は出来ますよね?』
「可愛くない女やな」
『もう貴女の妻ですよ』
引っ張り出したボストンバッグの中に必要なものだけを詰めていく
その間コネシマさんはつまらなそうに私のことを眺めていた
『...な、んですか?』
「いや、ほんまはA年頃の女らしく遊びたかったんちゃうかなって思っただけ」
『へ...?』
「お前古典的な社畜やろ。休日出勤はかかるし残業当たり前。だってAの会社俺らじゃ有名なブラック会社やもん」
『......はは、笑えますね。ほんとに網張り巡らされてるんですね』
「せや?そうせな生きていけんからな」
コネシマさんは透明のグラスに美味しくもない水道水を、どこかの国では羨ましい透明の水をくんで喉に通す
不味いと口元で呟いてグラスを置いた
「年頃の女らしく遊ぶ時間くらいやるから。ここに残したもんは全部売ってお前の金になるし勿論俺からも出すからな」
『コネシマさん、ほんとに優しいですよね』
「よく言われるわ」
『嘘つき』
「なんで分かってん」
自傷的な私の笑いの後にコネシマさんの大きな笑い声が響いた
私が来てからこの部屋初めての笑い声だったに違いない
しばらく過ごしたのに思い出もなければ情もない部屋を後にした
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新生活で慣れないことが多かったり体調崩したり抜けたと思ったスランプが悪質タックルしてきたりで更新頻度が激落ちしてます
すみません
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プリン - 更新頑張って下さい!!スラスラと読んじゃってあっという間に全部見ちゃいました(´・ω・`)コネシマさんめっちゃかっこいい!続き楽しみにしてます! (2022年4月11日 16時) (レス) @page50 id: 774745bb4a (このIDを非表示/違反報告)
@高橋_Tereta(プロフ) - もう更新はされないのでしょうか…?🥺コネさんかっこよくてスラスラ読んでしまい… (2022年4月2日 1時) (レス) @page50 id: 8dd19441df (このIDを非表示/違反報告)
舞太郎 - もう更新しないのかな、、、、コネさんがかっこいいおはなしでしたねー (2021年10月2日 10時) (レス) @page50 id: 6f46ea7e84 (このIDを非表示/違反報告)
零露 - 更新頑張ってください!自分の名前にしてニヤニヤしながら楽しんでますw(自分キモッ (2020年11月22日 22時) (レス) id: cc26712808 (このIDを非表示/違反報告)
あおみどり - 何度読み返しても面白いです!ゆっくりでも楽しみにしてます! (2020年10月22日 20時) (レス) id: 58294b6a9f (このIDを非表示/違反報告)
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