今宵、パーティーで踊りましょう【wrwrd】 (ページ11)

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11曲目ページ11

扉を開けると同時に溢れ出たのは冷気だった
思わず身を縮こませる様な空気

『寒い...』

｢鬼畜かよ...｣

1番薄手のコネシマは1度腕をさすった
恐らくこの中で最もひょろっちいシャオロンは寒そうに腕を抱える

｢今の格好で長時間おったら死ぬかもなぁ｣

呑気に言ったしんぺいさんの言葉にゾッと背筋が寒くなる

『死ぬ、の？』

｢今のままなら、でしょう？｣

最後尾にいたエミさんが得意気に胸を張る
と、次の瞬間目の前に暖かそうなコートが降ってきた

『え...？』

｢私の能力ですよ、どうぞお使いください｣

ベージュ色のコートを差し出してくれる
遠慮がちにそれを受け取って腕を通す
着始めの冷たさは無く、温かさが私を包んだ
冷えてきていた体は瞬く間に温まった

『ありがとう』

｢当然の事をしたまでですよ。どういたしまして｣

そう言って笑ったエミさんの笑顔は今いる人達の中で誰よりも柔らかかった

所々巻かれた包帯や喋り方を見るに多分丁寧な人なんだろう
ある意味、几帳面と言うか

北極をモチーフにしたような置物に寒さで空気中の水分が凍りついている

｢お、ペンギンやん｣

シャオちゃんから発せられた言葉にはっと視線を向ける
ペンギンは好きだ。あのよちよちした歩き方が可愛くて仕方がない

『あれ、ペンギン？』

｢せやで。スケルトンやけど｣

たまに骨の鳴るカラカラとした音を鳴らしながらもよちよちとした歩き方は変わらない

『可愛い、かも』

｢ほんま？Aちゃん現実世界から来てるから受け入れないかと思った｣

『なんかもう慣れたかな』

そう言えばそっか、と嬉しそうに笑った
と、スケルトンのペンギン達はある一定の場所を目指して歩いているのに気づく
目標地はどうやらエミさんみたいだ

近くにいたコネシマが気だるげに理由を教えてくれる

｢ここのヤツら全部エミさんが世話してんねん。やから懐いてんの｣

世話と言うのはあまり想像つかなかったが確かにエミさんはペンギンに嬉しそうに話しかけているしペンギンも必死にエミさんに付いて行っている
カラカラという音が鳴り止まない

ミイラも何か育てたりするんだな

ぼんやり眺めていれば一本道は終わって扉が現れる
鉄格子の冷たそうな扉を開けば5部屋目が広がっていた