HiGH&LOW【２】 (ページ35)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:72,739 hit

① ページ35

.

～ITOKAN～

琥珀『おい龍也、酒くれよ。』

そう言ってイスに座った琥珀はため息を何度かついた。

龍也『大人気ねぇぞ？お前。
あいつらの夢なんだ。気持ちよく送り出してやれよ～。』

龍也は琥珀の正面の席に座って話を続けた。

龍也『俺はな、仲間がいつでも帰ってこれる場所として、このITOKANを作ったんだ｡
だから...心配すんな！』

琥珀『はぁ...なぁ龍也！』

龍也『ん？』

琥珀『仲間がいねぇ奴らはどうしてんだろうな。
世の中にはよぉ、居場所もねぇままたった一人で耐えてる奴らはわんさかいる。
ムゲンはよぉ、そういう奴の救いだって俺は思ってんだ。』

龍也は何も言わず少し沈黙が流れる。

琥珀『まぁわかんねぇか。
最初から仲間や家族がいた奴には。』

それでも龍也は黙って顔を上げるだけだった。

琥珀『今日は、遅くまで悪かったな。』

琥珀は龍也の肩を叩くと出ていこうとした。

龍也『おい』

龍也は立ち上がり琥珀を呼び止めた。

琥珀『龍也、最初に俺に居場所を作ってくれたのはお前だったな。』

琥珀は振り返り龍也に近づきながらそう言った｡

.

.

小学生の頃､いじめられている琥珀を龍也が助けた事から二人の関係は始まった。

高校生あたりになってもその仲は変わらず､喧嘩の時も二人一緒だった。

.

.

琥珀『ありがとな』

そう言っても何も言わない龍也をみて琥珀は少し笑った。

琥珀『じゃあな』

.