私は師匠を信じない【HUNTER × HUNTER】

果たして目利きは正確なのか ページ41

「お前、カストロ知ってんのか？」
「まあね。一回顔を合わせた事もあるよ。確かー…二年前くらい？」
「じゃあAはその時の試合見たって事？」
「うん。多分その時がカストロの200階初試合じゃなかったかな。」

少女は指に付いた塩を舐め取りながら三つ目のハンバーガーを手に取った。しばらくまともに食事をしていなかったので腹が空いて仕方ないのだ。

一つ目はチキン、二つ目はポーク。三つ目のフィッシュは果たして本当に魚なのか何なのかよく分からない白身の塩気とソースが絡んでマッチしている。レタスは少し萎びているが…まあ悪くは無い。ジャンクフードは嫌いじゃない。少女は食に対して実に寛大である。(但し自身に向けられるいちゃもんには容赦ない。)

「初試合でヒソカ相手にダウンとってるんだ…。すごいね」
「…私でもダウンくらい取れるし」
「張り合うなって」

キルアは二杯目のシェイクを飲み終えカラースプレーが山ほどかかったドーナツに手を伸ばし、一口齧ってから追いチョコソースをした。ちなみに塩系の物は一切口にしていない。少女はソレに「マジかコイツ…」と顔を顰めた。

「にしてもゴン、ホントに念を使わないって約束守ってるの？」
「な！？守ってるよ！失礼だな〜！」
「いや、好奇心の塊が一ヶ月も我慢なんてホントに出来てんのかなって思って。」
「…確かに誘惑に負けそうな時もあるけど、この誓いの糸を見てちゃんと我慢してるよ。」

そう言ってゴンは右手に本日一つ目のホットドッグを持ち、左手を少女に向けた。ゴンのトレーには五つ分のハンバーガーの紙くずとホットドッグ(チーズ)ホットドッグ(チリ)が並んで待機している。

「ふーん、誓いの糸ねぇ…」

ぐいと引っ張るがビクともしない。成程、何かの念が込められているのか。

少女は最後のハンバーガーを平らげ、メロンソーダをズコーと飲み干すと、途端に微睡み始めた。

「…眠そうだね。」
「腹いっぱいになって眠くなるとか、幼児かお前は。」
「……一時間経ったら起こして。」

キルアの煽りにすら反応せず、ドカンと机に頭を打ち付け眠り始めてしまった少女。ゴンとキルアの想像以上に少女は疲弊しきっていたらしい。

「…一時間で起きんのか？コレ」
「あはは。まだ試合開始まで時間あるし、寝かせてあげようよ。」

そう笑いながら、ゴンはホットドッグ(プレーン)を腹の中に収めた。

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