scene257 ページ7
校舎を出て、おれは再び野坂に電話をかけようとした。
薄闇の中で黄色いテープが目に入り、その手を止める。
ここ……まだこのままだったのか。
サッカー部室にはブルーシートが被せられている。
屋根の左側が妙に高くなっているのは、確かトタンがめくれ上がっていたからだっけ。
おれはテープをくぐって掘っ建て小屋に近付く。見るからに立て付けの悪そうな扉に手をかけた。
力を込めて引くと、扉が開いた。
「え……」
思わず声が漏れる。
鍵掛かってねえのかよ、どうなってんだ。
悪いことをしているとは思いながらも、中を覗く。
しばらく使われていない様子だが、中は思ったよりきれいだった。
ホワイトボードには作戦会議の後そのままにされたような跡と、隅には落書きが描いてある。
小さな格子窓からわずかに月明かりが差す。部室の中央に置かれた机の上に、なにか光るものがあった。
なんだろう、これ。
伸ばしかけた手が空中で止まる。
目を凝らすと、暗闇の中に形が浮かび上がる。おれはそれを手に取って、光にかざす。裏返して、もう一度裏返す。
おれの中の疑念が、確信に変わる。やっぱりそうだ。これは、おれがAにあげたネックレスだ。
三日月の淵を指でなぞる。傷一つ付いていない、きれいなままだった。
Aのネックレスが、どうしてここに……？
その疑問は、着信の音に掻き消される。
『遅えんだよ、石は受け取ったのか』
電話の向こうから聞こえる、不動さんの声。
「は……はい」
曖昧に返事をしながら、おれはネックレスをポケットにしまう。
『じゃあ、説明するからよく聞けよ』
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ペナ紅 - やっぱ電話の相手、半田だったんだ…！ (2021年7月5日 16時) (
レス) id: 173b2b90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのわたし(プロフ) - 完結おめでとうございます。高い文章力ですごく引き込まれました。私事ではありますがわたしは基山ヒロトが好きで吉良ヒロトがどうしても好きになれずこの小説を取っ掛りとして読ませていただきました。あなたの作品で彼のことを好きになれました。 (2020年12月8日 18時) (レス) id: 0a912f5e29 (このIDを非表示/違反報告)
りと - 完結おめでとうございます！丁寧かつ読みやすく想像しやすい文章でサクサク楽しく拝見できました！個人的には甘くない終わりにくそぅ！と思いつつでも現実だったらそうだよなぁとしみじみ受け止めました。笑 また是非に文字を書き続けてください！応援しております！ (2020年11月22日 15時) (レス) id: 4c41bf9741 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - とっても楽しく読めました！大好きな作品です！完結おめでとうございました！ (2020年3月17日 10時) (レス) id: 40379c818e (このIDを非表示/違反報告)
鬼跡 - 完結おめでとうございます⊂((・x・))⊃この作品本当に大好きでした！！！！大好きです！ヾ(＠⌒ー⌒＠)ノ (2019年12月18日 18時) (レス) id: 8e87660fcc (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年8月22日 20時
