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scene266 ページ16

「あー……いけないんだ、ヒロトくん」


泣いているAを見て、野坂は温度のない声で言った。


「ちがっ……おれが泣かせたんじゃなくて! いや、おれのせいか……?」

「へろへろで立ち上がれないヒロトくんの代わりに、ぼくが慰めてあげるよ」


野坂は持っていたビニール袋をデスクに置いて、Aの髪を撫でる。


「なっ……誰がへろへろだ!」

「だってそうでしょ、誰がここまで運んだと思ってるの」

「あ……」


そうか、おれ、確かAを見つけた後倒れて……。


「人が急に倒れても大した騒ぎにならなかったのは、さすがは大都会って感じかな」

「それは、その……悪かった……」

「いいよ、Aちゃんが見つかったのは、ヒロトくんの手柄だからね」


野坂はAに笑いかける。


「……つーか、ここはどこなんだよ」


おれは部屋の中を見回す。


「一時的にAちゃんを匿う為に、鬼道さんに用意してもらったんだ。鬼道さんの会社が所有してるビルのワンフロアを貸してもらってる」


おれは口をあんぐりとさせる。


「安心して。マネージャーさんには西蔭に連絡してもらったから」

「警察沙汰にはなってねえってことか……?」

「そう、Aちゃんのことは、ぼくたちに任せてほしいって。テレビ局とか、そっちの方には事務所が対応してくれてる」

「はあ……」


なんていうか、迅速な対応ご苦労さんって感じだな……。


ちらっとAに目をやると、まだ涙を拭いながら俯いている。


「野坂、さっきまでどこ行ってたんだよ」

「ああ、ちょっと買い出しにね」


野坂はデスクに置いた、中身がぱんぱんに詰まった袋を持ち上げる。


「お腹空いたでしょ、ご飯買ってきたよ」





隣の部屋は、応接室のようだった。中央に大きなテーブルと、それを挟んでソファが二つ置かれている。

壁には高そうな絵が飾られていた。この絵、おれの家にもあった気がすんな。


窓はブラインドが閉められていた。


まだ頭は痛いし、なんかぼーっとするし、体調は万全じゃない。でも、さっきまでの最悪な気分からは解放された気がする。

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ペナ紅 - やっぱ電話の相手、半田だったんだ…! (2021年7月5日 16時) (レス) id: 173b2b90f1 (このIDを非表示/違反報告)
ゆめのわたし(プロフ) - 完結おめでとうございます。高い文章力ですごく引き込まれました。私事ではありますがわたしは基山ヒロトが好きで吉良ヒロトがどうしても好きになれずこの小説を取っ掛りとして読ませていただきました。あなたの作品で彼のことを好きになれました。 (2020年12月8日 18時) (レス) id: 0a912f5e29 (このIDを非表示/違反報告)
りと - 完結おめでとうございます!丁寧かつ読みやすく想像しやすい文章でサクサク楽しく拝見できました!個人的には甘くない終わりにくそぅ!と思いつつでも現実だったらそうだよなぁとしみじみ受け止めました。笑 また是非に文字を書き続けてください!応援しております! (2020年11月22日 15時) (レス) id: 4c41bf9741 (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - とっても楽しく読めました!大好きな作品です!完結おめでとうございました! (2020年3月17日 10時) (レス) id: 40379c818e (このIDを非表示/違反報告)
鬼跡 - 完結おめでとうございます⊂((・x・))⊃この作品本当に大好きでした!!!!大好きです!ヾ(@⌒ー⌒@)ノ (2019年12月18日 18時) (レス) id: 8e87660fcc (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2019年8月22日 20時

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