scene57 ページ7
「別に。これくらい普通だろ」
不動さんは適当に返事しながら、手元の野菜をあっという間に下ごしらえしていった。大根とニンジンはいちょう切りに、白菜とえのきも小さく切ってある。
「なに作ってるでゴス」と岩戸が訊くと、不動さんは「見てりゃわかるよ」と小馬鹿にした笑み。
いつの間にかカウンターの周りにギャラリーが増えていた。
みんな不動さんの見事な料理さばきに見入っている。
「なんだろう、チャーハン？」「チャーハンに大根入ってないだろ」「わかった、豚汁！」「いや、豚肉ないし」「コロッケ？」「それさっき食べただろ！」
まったく意味のない予想を披露しあっていると、あっという間に雑炊が完成した。
「おかゆ？」「雑炊だよ」「おかゆと雑炊の違いは」「どっちも似たようなもんだろ」
無謀な会話が続くのを無視して、不動さんはできたての雑炊をどこかに運ぼうとしていた。
「どこ行くんすか」
食堂を出ようとする不動さんの背中に訊くと、振り返らずに「Aの部屋」と短く答えた。
・
なんかいろいろ意外だった。不動さんが料理できるってことも、他人のために腕を振るうということも。
「不動ってああいうやつだったか？」
不動さんの背中を見送った後、風丸さんがぽつりとつぶやいた。
「帝国で一緒だったけど、意外な一面があるもんだな」
「不動さんってAと仲いいんですか？」
「いや……そういう話は聞いたことがないな。以前から知り合いだったというわけでもないと思うし」
不動さんも割と仲間思いなところがあると思うけど、選手とマネージャーという関係だけで、わざわざ食事を作って持って行ったりするだろうか。
「これは不動さんに一本取られたね」
野坂は「まいったな」と苦笑する。
「なんだよ一本取られたって」
「だって弱ってるところにあんな気遣い、完全に落としにかかってると思わない？」
「思わねえよ」
また野坂の小ボケか、とスルーしようと思ったが、なんだかその可能性もなくはないような気がしてきた。
・
野坂が部屋へと戻って行ったあと、風丸さんがおれの両肩をがっしりと掴んで言った。
「ヒロト、Aのことを頼む」
「は？ なんすか急に」
「不動や野坂には、なんとなく任せられないんだ。この中だったら、ヒロトが一番まともな気がするから……」
「何気に失礼だなあんた」
ついタメ口がでてしまった。
でも風丸さんの言わんとしていることも、わからなくはない。
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楓 - 福岡、京都、沖縄...陽花戸中、漫遊寺中、大海原中ですね。立向居や木暮、綱海がいるか確かめにでも行ったのでしょうか...。でも、夢主ちゃんの世界にヒロトは存在していない、と聞いたとき、ヒロト本人はどう思うのでしょうか...続きがすごく気になります！ (2019年2月17日 17時) (
レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 無印時代からアレス時代に来るとき、雷門中から飛び降りたことで夢主ちゃんがこの時代に来れたとか...？色々想像できて楽しいです！頑張ってください！ (2019年2月15日 13時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 初コメ失礼します！！もしかして夢主ちゃんは無印時代から来た子ですか！？アツヤ見て泣いたのも、ヒロトを見てビックリしたのもつじつまが合いますし...。(アツヤが生きてて嬉し涙、ヒロトがタツヤと全然似てなくて驚き)いつも応援しています！！ (2019年2月12日 3時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すごく場面場面が入ってきてとっても読みやすいです！続き楽しみにしています♪ (2019年2月11日 22時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
はずにゃん☆ - こんな感じの小説待ってましたー♪投稿頑張て下さい。 楽しみにしています！ (2019年2月9日 14時) (レス) id: f86bddf786 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年2月8日 17時
