scene84 ページ34
「は……？ 嘘だろ……、いつの間に」
「ぼくはAちゃんと恋人として、ちゃんと関係を深めていたんだよ。仕事の合間を縫ってデートしたり、事務所の寮まで送って行ってあげたりね。そうしているうちに、話す気になってくれたみたいで」
マジかよ……。恋人関係って口約束だけで、全然機能してないと思ってた。
「でも、Aちゃんの口から聞いたことは、たぶん彼女の全てではない。話してくれたことは、真実ではあると思うんだけど、たぶんまだ隠してること……もしくは、 Aちゃんさえ分かっていないことがあったんだ。それがわからないと、彼女が飛び降りた理由には繋がらない」
野坂がいっぺんに話すので頭がパンクしそうになった。
「それから、なぜわざわざ雷門中まで行って飛び降りたのかということも」
背筋がぞくりとした。
「ぼくは知りたいんだ。だから、ヒロトくんにも手伝ってほしい。Aちゃんの一番近くにいた、ヒロトくんに」
切実な目が強く訴えかけてきた。
野坂がこんな風に、素直に他人の力を借りようとすることが意外だった。
Aがなぜ飛び降りたのか、きっと好奇心なんかで掘り起こしてはいけないことだ。
Aはそれを知られたくないかもしれないし、知りたいなんていうのは残された人間のエゴだ。
それでも、おれは知りたい。もうなにも知らないままで、なにもできなくてじっとしているのは、もう嫌なんだ。
たとえAを傷つけることになっても、そこにどんな醜い真実があるとしても。
おれがなにも知らなかったから、Aがあんなことになってしまったんだ。Aのことをもっと知っていれば、止められたかもしれないのに。
独りよがりなどうしようもない考えだけど。
きっと野坂も同じだ。
「わかった、協力してやるよ」
おれは野坂に手を差し出した。
野坂は少しびっくりしたような表情を浮かべた。やがてそれは、いつもの自信に満ちた笑みに変わる。
「ありがとう、頼りにしているよ」
野坂はその手を強く握った。
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楓 - 福岡、京都、沖縄...陽花戸中、漫遊寺中、大海原中ですね。立向居や木暮、綱海がいるか確かめにでも行ったのでしょうか...。でも、夢主ちゃんの世界にヒロトは存在していない、と聞いたとき、ヒロト本人はどう思うのでしょうか...続きがすごく気になります！ (2019年2月17日 17時) (
レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 無印時代からアレス時代に来るとき、雷門中から飛び降りたことで夢主ちゃんがこの時代に来れたとか...？色々想像できて楽しいです！頑張ってください！ (2019年2月15日 13時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 初コメ失礼します！！もしかして夢主ちゃんは無印時代から来た子ですか！？アツヤ見て泣いたのも、ヒロトを見てビックリしたのもつじつまが合いますし...。(アツヤが生きてて嬉し涙、ヒロトがタツヤと全然似てなくて驚き)いつも応援しています！！ (2019年2月12日 3時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すごく場面場面が入ってきてとっても読みやすいです！続き楽しみにしています♪ (2019年2月11日 22時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
はずにゃん☆ - こんな感じの小説待ってましたー♪投稿頑張て下さい。 楽しみにしています！ (2019年2月9日 14時) (レス) id: f86bddf786 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2019年2月8日 17時
