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scene83 ページ33

「じゃあ意味ねえじゃんかよ」


あきれ顔のおれに野坂は言った。


「世の中に意味のないことなんてないんだよ」

「へいへい」


適当に流すと、野坂が行く手を塞ぐようにおれの前に出てきた。驚いておれは立ち止まる。


「ぼくたちは知る必要があると思わないかい。じゃないと、また同じ悲劇を繰り返すことになる」


野坂の言葉は有無を言わさぬ強いものだった。


同じことを繰り返す。おれたちはなにも知らなかったから、こんな悲しい出来事が起こってしまった。野坂はそう言いたいのだろうか。


じっとこちらを睨んでいた野坂の表情は、やがて微笑みへと変わった。


「なんてね。ただ知りたいって、それだけで理由は十分だと思うよ」

「はぁ……」

「相手のことを知りたいと思う気持ちから始まるんだよ、あらゆる物事はね」


最近、野坂に言われるとだいたいそうなんじゃないかと思えるようになってきたから恐ろしい。


「あー……つまり、なにが言いてえんだよ」


おれは頭をがりがりとかく。


「ぼくたちで調べるんだ」


野坂は大真面目に言った。


マジか。こいつ、マジで言ってんのか。


「だから、ヒロトくんにも協力してほしいんだよ」

「え、いや、ちょい待て! お前本気で言ってんのか? おれらだけでなにができんだよ」

「実は、ぼくはもう答えを知っているんだよ。ただ、確信がないのと、決定打にかけるってだけで……」

「いやいやいや! 待て待て!」


こいつ今なんて言った、答えを知ってるって……。


「ぼくはAちゃんから彼女の素性を聞かされていたんだよ」


おれは目を見開いた。

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- 福岡、京都、沖縄...陽花戸中、漫遊寺中、大海原中ですね。立向居や木暮、綱海がいるか確かめにでも行ったのでしょうか...。でも、夢主ちゃんの世界にヒロトは存在していない、と聞いたとき、ヒロト本人はどう思うのでしょうか...続きがすごく気になります! (2019年2月17日 17時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
- 無印時代からアレス時代に来るとき、雷門中から飛び降りたことで夢主ちゃんがこの時代に来れたとか...?色々想像できて楽しいです!頑張ってください! (2019年2月15日 13時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
- 初コメ失礼します!!もしかして夢主ちゃんは無印時代から来た子ですか!?アツヤ見て泣いたのも、ヒロトを見てビックリしたのもつじつまが合いますし...。(アツヤが生きてて嬉し涙、ヒロトがタツヤと全然似てなくて驚き)いつも応援しています!! (2019年2月12日 3時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すごく場面場面が入ってきてとっても読みやすいです!続き楽しみにしています♪ (2019年2月11日 22時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
はずにゃん☆ - こんな感じの小説待ってましたー♪投稿頑張て下さい。 楽しみにしています! (2019年2月9日 14時) (レス) id: f86bddf786 (このIDを非表示/違反報告)

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作成日時:2019年2月8日 17時

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