scene68 ページ18
「……いや、わかんねえ」
おれが眉をひそめると、野坂は「そうかい」と言って、去って行った。
相変わらず野坂の言っていることの八割は理解できない。
もうすぐ、というのはもうすぐAの謎がわかるという意味だろうか。
そもそもAの謎ってなんだ、おれたちはなにに引っかかりを感じていたんだっけ。
なにも悪いことしてないんだし、Aも無理に話す必要ないんじゃないのか。なにを知ったところで、AがAであることに変わりはないんだし。
なんで野坂はあんなに知りたがっているんだろう、Aだって、話せるものなら話したいって、そんな感じだったし。
「どうした、ヒロト」
部屋の端でじっと考え込んでいたところに、風丸さんが声をかけてきた。
「いや、ちょっと考え事をしてて」
「考え事？」
「はい……」
おれは野坂の言っていたこと、そして自分が考えていたことを風丸さんにも話してみた。
「なるほど……野坂はなにか掴みかけているみたいだな」
「なにが野坂をそこまで突き動かすのか、わからなくなってきて。でも、よく思い返してみると、確かにちょっと引っかかる部分もあるんですよ」
「ヒロトが最初にAに対して違和感を感じたのはいつだったんだ？」
風丸さんに訊かれ、おれは今までの出来事を思い返していく。
「……初めて会ったとき、ですかね」
「初めて会ったとき？」
「はい、あいつとは、おれの家で会ったのが最初だったんですよ」
「家で？」
「あいつが吉良のグループ会社のCMやることになって、懇親会みたいな感じで家に招待されたんですよ」
「なるほど……それで？」
風丸さんは真剣に話を聞いてくれていた。
「あいつ、初めておれと顔合わせたとき、めちゃくちゃ驚いた顔してて、……驚いたっていうか、なんだろう、もっとこう……なんか泣きそうっていうか、感情をせき止めてるみたいな」
うまく表現できないけど、あのときは少し違和感を抱いたのは覚えている。
「それ、ぼくも似たような体験をしたんだ」
吹雪さんが歩み寄ってきた。
「吹雪さん？」
「聞いてたのか」
「ごめん、ちょっと気になっちゃって。でも、ぼくもAちゃんと初めて会ったとき、ある違和感を感じたんだ」
吹雪さんは神妙な面持ちで語った。
「白恋中にAちゃんが来たって話はしたよね」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 64人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「イナズマイレブン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
楓 - 福岡、京都、沖縄...陽花戸中、漫遊寺中、大海原中ですね。立向居や木暮、綱海がいるか確かめにでも行ったのでしょうか...。でも、夢主ちゃんの世界にヒロトは存在していない、と聞いたとき、ヒロト本人はどう思うのでしょうか...続きがすごく気になります！ (2019年2月17日 17時) (
レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 無印時代からアレス時代に来るとき、雷門中から飛び降りたことで夢主ちゃんがこの時代に来れたとか...？色々想像できて楽しいです！頑張ってください！ (2019年2月15日 13時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 初コメ失礼します！！もしかして夢主ちゃんは無印時代から来た子ですか！？アツヤ見て泣いたのも、ヒロトを見てビックリしたのもつじつまが合いますし...。(アツヤが生きてて嬉し涙、ヒロトがタツヤと全然似てなくて驚き)いつも応援しています！！ (2019年2月12日 3時) (レス) id: cb7b132aff (このIDを非表示/違反報告)
彼方(プロフ) - すごく場面場面が入ってきてとっても読みやすいです！続き楽しみにしています♪ (2019年2月11日 22時) (レス) id: 35021d0064 (このIDを非表示/違反報告)
はずにゃん☆ - こんな感じの小説待ってましたー♪投稿頑張て下さい。 楽しみにしています！ (2019年2月9日 14時) (レス) id: f86bddf786 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作成日時：2019年2月8日 17時
