検索窓
今日:1 hit、昨日:27 hit、合計:104,817 hit

子供43 ページ43

「ねぇーさーん」


冬の巡察。

江戸は雪に覆われ、凍える寒さとなった。

太陽は顔を出すことはなく、代わりに雪を降らせる雲だけが空に流れる。

隣の可愛らしい上司は、鼻の頭を赤く染めていた。


「あー、さみぃさみぃ」


死んだ目でハーっと手に息を吹きかける総悟くん。

息は真っ白に染まり、すぐ体温を奪っていくような気温だ。

雪は、歩けばザクザクと鳴るほど積もった。

車を走らせるわけにはいかないと判断した土方さんは、全て徒歩での巡察を命じた。


「手、繋いでくだせェよ。僕ぅ冷え症なんでさァ〜」


「だから手袋した方がいいって言ったじゃないですか」


「Aさんがその手を貸してくれりゃ、問題解決ですぜィ」


甘い声でお願いをしてくる総悟くん。

その上目遣い、百点。


「お姉ちゃん!!」


総悟くんとくだらない話を交わしていると、遠くから元気な声が聞こえた。

目を凝らして前方を見れば、見覚えのある幼い少年がこちらに手を振っていて。

あれは…


「蒼くん?」


赤坂 蒼くん。

以前、助けた事がある小さな男の子だ。

ダーッと私たち二人の前まで走ってくると、勢いよく飛びついてきた。

慌てて受け止めると、ギューッと抱きしめてくれる。


「久しぶりだね!」


「そうね、久しぶり。元気にしてた?お母さんとはどう?」


「今ね、母ちゃんすっげー元気なんだ!たくさん仕事に行っちゃうけど、帰ってきたら遊んでくれんの!」


幸せそうに笑顔をこぼす姿に、安心した。


風邪をひいた母親の薬を万引きした彼。

薬代も払えないほど、お金に不自由していたのだろう。

その場面に出くわした私たちは、お節介だが蒼くんの自宅に訪問。

薬代を代わりに払い、母親の看病をしたのだった。

女手一つで蒼くんを育てなければならない母親は、毎日働き詰め。

遊んでもらえず、家にポツンと取り残された蒼くんは、寂しそうだったのを覚えている。

けどこうして話を聞くと、今では寂しい思いをする事が減ったみたいだ。


「おぉークソガキ。さっそく姉さん口説いてんのかィ」


ちなみに、総悟くんと仲は良くない。


「クソガキじゃねぇし!大人だしぃ!!」


「まだまだガキでさァ。とりあえず早く姉さんから離れろィ」


「うっせー!バーカバーカ!」


久しぶりに顔を合わせたというのにこれだ。

呆れながら宥めていると、急に蒼くんがハッとした表情になった。


「そうだ!あのね、お姉ちゃん達に頼みたいことがあるの」

子供44→←子供42



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (136 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
226人がお気に入り
設定タグ:坂田銀時 , 夢小説 , 銀魂
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

お茶(プロフ) - アルムさん» 素敵なコメントありがとうございます!!心の支えでございます涙次回作も宜しければ読んでいただけたら光栄です!ありがとうございました!! (2019年11月8日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アルム(プロフ) - お茶さんこんにちは! 番外編完結おめでとうございます。1シリーズのときからずっと好きで毎日読んでいました。お茶さんの綴る文章、大好きです。毎日お疲れ様です。次回作も楽しみにしています。 (2019年11月8日 23時) (レス) id: 4726a4adc0 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みゃんさん» わぁぁあコメントありがとうございます!続き頑張って書きあげますね!! (2019年9月4日 0時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
みゃん - 一気に読んじゃいました!めっちゃ面白いです!!続きが早く見たいです! (2019年9月3日 22時) (レス) id: 21dc5ec498 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - あくび少女さん» コメントありがとうございます!ニヤニヤ…( -∀-) (2019年9月1日 1時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:お茶 | 作成日時:2019年4月9日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。