子供扱い【番外編】

子供１ ページ1

〜Aside〜


春。

外へ出れば桜が満開に咲き誇っている。

暖かい春風と共に運ばれてくるのは、一体なんだろう。

新しいことがスタートするこの季節だから、きっと希望や期待に満ち溢れた想いたちだろう。

そして私達も新しいスタートラインに立ち、新しい環境で新しい道を進もうとしていた。


なのにあの男は…！！


あの男、私の旦那にあたる坂田銀時に私は今盛大に悩まされている。


昔から共に過ごしてきた私たち。

攘夷戦争が終戦し一度は違う道を歩んだが、今はこうして籍を入れることが出来た。

つまり新婚であり、普通なら和やかな雰囲気で新生活がスタートするものなのだが。


遡ること三日前である。


新婚といっても、私は真選組に所属していて屯所で生活をしているため彼とは同居は出来ない。

つまり彼の私生活を間近で見る機会はほぼないのだ。

なので、最近はどんな様子か気になった私は、内緒で銀ちゃんに会いに行こうとした。

夜の七時を回った頃、万事屋にいなかった銀ちゃんを探すため夜の歌舞伎町を歩く。

その時、居酒屋から出てきた銀ちゃんを見つけた。

声を出し駆け寄ろうとしたその時。

後から女の人も出てきたのだ。

その女の人は、華奢な体で美人だった。

彼女は銀ちゃんの肩に手を置き、楽しそうに笑っていて。

そして銀ちゃんも、別に手を振り払おうとはしていなくて。


あまりのショックで声が出なかった。


私は声をかけず、その場から立ち去った。


三日経った今でも、銀ちゃんに聞けないでいる。

あの日の夜、女の人に会ってた？なんて。

なんて返ってくるか分からない恐怖が勝ってしまう。


「浮気、かなぁ。あ、既婚者だから不倫とも言えちゃうよね…。なにそれ重く感じる」


自室で資料を整理しながら、そんなことをボヤく。

まだ結婚して日は浅いのに、早くないかい銀ちゃんよ。

まぁショックだったが、女絡みに関しては必ずいつかはくると思っていた。

あまりにも早すぎるけど。

その覚悟ができてきたから、まだ精神的にも大丈夫だ。


「A、入るぞ」


障子の向こうから、土方さんの声がした。

返事をすると中に入ってきて、私の隣に腰を下ろす。


「悪いな、終わったか？」


頼まれていた書類を渡すと、彼は煙草を取り出す。


「今日も来てたぞ。どうしたんだよお前ら」


屯所に来る銀ちゃんを、毎回適当な理由で追い返してもらっている。

ここ三日顔を合わせていない。

申し訳ないけど、今は会いたくない。

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