子供扱い【坂田銀時】

子供４３ ページ43

何その治療法、バカじゃねぇの？


だが、目の前で盛大な暴力を奮ってくれた本人はキョトンとしている。


「あれ？銀ちゃん…何してるの？」


「戻ったのね。銀さんの頬ぶっ叩いて戻れたは戻れたのね。記憶なくして戻れたのね。泣いていいかなこれ」


「あ、そういえば惚れ薬！」


「貴方が被害者の一人なんだよ、Aさん。さっきまで俺に惚れてやがったんだぜ」


やれやれ、と肩を落としそう言い捨てる。

すると、みるみるうちにAの頬が赤くなっていった。


「ぎ、銀ちゃんに…私が…？」


なんだよ、随分可愛らしい反応じゃねぇか。

面白くなった俺は、目をつぶりわざとらしく思い出すふりをする。


「付き合ってほしいーなんて口走りそうになってたり、急に腕組んできやがっ」


「わぁぁ！！！言わないで言わないで！！！！」


耳を塞ぎ、思いっきり暴れるA。

あまりにも珍しく可愛らしい表情に、ドS本能が騒ぎ出した。

少しからかってやれば、もう顔はリンゴだ。



…って、ん？待てよ。

ちょっと冷静に考えてみろ銀時。

その治療法でいけば、土方くんは必然的にAにビンタしねぇといけないわけで。


俺は先程、解毒剤がないと説明した天人の元に駆け寄った。


「ビンタ以外に方法ねぇのかよ」


「た、他人と口付けを交わすことだが…」



「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ！！！！！！！」



それを聞いた瞬間俺は叫びながら走り出し、土方の両肩をガシッと掴んだ。


「うぉあぁ、なんだよ！！！」


「うるせー！！Aに指一本触れさせるかコノヤロー！！！！！」


「お、おい万事屋、落ち着け。何があったかせめて言ってみろ。顔をゆっくり近付けるな、無言で近づけるんじゃねぇ！！！！」


「うるせぇっつってんだろ！黙って目つぶれ！！ほら、土方くん別のこと考えろ！今日のパンツの色思い出せ！！」


「今日は黒…ってそうじゃんんんんんん！！」









奴が言い終わる寸前で、唇を重ねた。

遠くの方で、Aのキャーっと言う叫び声が聞こえた。







その日俺は人生の中で、一番濃厚で一番苦いキスをしたのだった。

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