子供扱い【坂田銀時】

子供４０ ページ40

〜銀時side〜


天人ねぇ。

金になるから惚れ薬を売り捌いていたわけか。

さらに客に狙いたいターゲットを聞けば、依頼料として追加料金も稼げる。

まぁ、いい鴨になんのは、こういう女の子なんだろうな。


「どこで売ってもらった？そこの目つきの悪い兄ちゃんに教えてやってくれよ」


まだ涙を流す彼女の肩に少し触れ、何度かポンポン
と叩く。

すると彼女はハンカチから顔を出し、ゆっくりとまた口を開いた。


☕


江戸の街は、物騒な空気の場なんて腐るほどある。

そして、篠原ちゃんが薬を手にしたのは、まさしくそういう場。

路地裏だ。


つか


「なんでAさん、いるんですか」


「銀ちゃんのそばにいたいから…かな」


なんでついてきちゃったのこの子。

なんで銀さんの腕に自分の腕絡ませてるの。

俺をどうしたいの。

腕を振り払うかちょっと迷っていると、プカプカとタバコをふかすこいつの上司が目の前に立った。


「A…そいつのどこがいいんだよ。ほら俺の腕、空いてますよ」


「お前まじ何言ってんの」


左手を腰に当て、大きな円を作る土方。

きもっち悪っ！！

吐きそうになった口に急いで手を当てると、後ろから総悟くんが歩いてきた。


「Aと別室で一緒にいたんですが、銀ちゃん銀ちゃんうるせぇんで連れてきやした」


「てめぇかよぉぉおお！！！ちゃんと躾なきゃダメでしょーが！！！」


「んな事より、先に進んだ方が良さそうですぜ旦那。ここら辺、嫌な匂いがプンプンしまさァ」


急に目付きを鋭くする。

瞬時に殺気を纏った総悟くんに反応し、俺も切り替える。


息を潜め、確実に歩みを進める。

すると、見えたのは小さなダンボールに座っている男一人。

奴で間違いないだろう。


「…誰が行く」


影で残り三人に話しかける。

誰かが囮になり薬を貰えば、即逮捕できんだろ。

誰か行けよ。

目で総悟くんに訴えていると、急に背中を押された。


「うおぉっと、ってめぇ！！」


影に隠れる総悟くんに殴りかかろうとすると、バッチリその男と目が合う。

ここは一人と装った方がよさそうだな。


「叶わない恋愛を叶えたいとは、思いませんかね」


優しい声音で、そう声をかけられる。

見た目は牛っぽいな。

小柄だ。外観だけなら商人っぽく見える。


「あ、あぁ、恋ね」


奴の目の前まで歩き、しゃがみこんでみる。


「何、それって叶うの？」


「叶いますよ、この液体で」

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