子供扱い【坂田銀時】

子供２９ ページ29

ケラケラ隣で笑っている総悟くんと一緒に、屯所へ帰宅。

全く反省の色が見えない上司は、普段からこんな感じだ。

はぁっと盛大なため息をついて見せれば


「どうしやした？更年期ですかィ？」


「私を何歳だと思ってるのですか…」


もう激しくツッコム元気もなくなってしまった。

この人となんでペアなんだろ。

巡察という名の過激な散歩に付き合わされるの、なんでだろ。

だが、隣で歩くこの人は、そんな私の気持ちお構い無しに呑気だ。


「飯行きやしょうよ」


「…はーい」


隊服のまま二人して食堂へ足を進める。


ちょっと前までは、私がご飯を作り配ったりしていたのに。

今では受け取る側になってしまった。

お盆を持ち並んでいると、女中さんに話しかけられる。


「若い子の手が無くなっちゃったから、おばちゃん達大変なのよ〜？いつでも戻ってきていいからねAちゃん」


キャピキャピしてるなぁ。若いなぁ。

おばさん達が可愛く見える。


「手が空いた時は手伝います。いつもありがとうございます」


「あらいいのよ、冗談冗談！Aちゃんは頑張ってるんだから、働きすぎなくていいの！」


満面の笑みでそう返され、手元を見るとおまけに増やしてくれたエビフライが。

パッと顔を上げると、ウィンクをされてしまった。

すいませんおば様。美味しくいただきます。


「え〜僕にはおまけないんですかィ」


隣にいた総悟くんが猫なで声を出す。

すると、すぐにおば様達から黄色い歓声が上がった。


「キャー！総悟くんじゃない！もう沢山食べて！これ私から！！」


山盛りに積まれていくエビフライたち。


おば様、見て見て。

今一瞬だったけど。

この人どす黒く笑ったよ？見えた？


「チョロいもんでさァ」


うわ、すごい営業スマイルだよこの人。

ジト目で見ていたら、そそくさと行ってしまった。

慌ててあとを追いかけ、彼の隣に座る。


「いいですかィ、Aさん。女ってのはビジュアル勝負なんですぜ。だからくそ地味な山崎の皿の上には桜えびしか乗らねぇんだ」


「いやちゃんとエビフライ貰いましたよ！！沖田隊長！？」


遠くの席から立ち上がる山崎さん。

桜えびって…あの小さいやつか。

可哀想に山崎さん。


「Aさん！？だからエビフライ貰ったってば！！」

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