花束5 ページ5
俺は、店内を見ているふりをし、チラッとその男を見た。
背は俺と同じくらい。目つきは鋭く、髪は黒い。男の俺でも思うほどの色男だ。
なんだこいつ、煙草吸ってんのか。右手に目を落とせば、赤い火がじりじりと煙草を燃やしていた。
けど、彼は何かに気づいたのか、すぐに煙草を消した。
まだ8割も残っているのにだ。
…気に入らねぇ、なんなんだよ。
少し話を聞いていたら、どうやら親戚に渡す花を選びに来たらしい。
そんな目的と外れた話をして盛り上がる会話に嫌気がさす。
「土方さん、今日は煙草消してくれたんですね」
「あぁ…まぁな」
何度かこの店に来てるのか。名前を知っているほど仲が良いのか。彼女のためなら残った煙草を消すのも惜しまねぇのか。
分かりすぎやしねーかこの男。Aに惚れてやがる。見た目も可愛らしいAだ。
変な虫がつくのは当たり前だろう。うざってぇ。
大切にしていた秘密の花が見つかった気分だ。
少し経つと、男は1つの花束を買って去っていった。
俺はすぐにAの元に行き、2人はどんな関係なのか聞いた。
「常連さんです。確か、坂田さんと同い年だった気がしますよ」
おいおい、まじかよ。
同い年ねぇ…。
Aよ、そいつただの常連さんじゃねぇよ。
Aのこと気に入ってる野郎だぜ。
勝ち目なんてねぇとか思ってねぇからな。コノヤロー。
きっと俺だけが向けている対抗心を「土方君」に抱く。もう名前覚えたからな。
俺の方が早くAに出会ってるよな…。そんなことねぇのかな。
そんなの関係ねぇよ、な。
いつからこんな小学生の様な思考になっちまったんだ。
「坂田さん?」
色々考えていたら、彼女が顔を覗き込んできた。
突然の至近距離に心臓が驚く。
赤くなった顔を隠すためにバッと距離を取る。
間近で見る彼女の瞳は、透き通るようなブラウンだった。
ここで聞くしかねぇんじゃねーのか、銀時!!
今、おら、ちょっと言えばいいだけだろ。
スマホシェイクして連絡先交換しませんかって!!
おいおい、いつからこんな小学生の様な神経になっちまったんだ。
結局、今日も俺は彼女の連絡先をゲットすることができなかった。
あぁ、男じゃねーよ。
恋愛回数は多くても、恋愛経験は薄い俺。
来週は、絶対に聞いてやる。
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お茶(プロフ) - ginさん» 暖かいコメント本当にありがとうございます!私の妄想癖が爆発した作品です...笑アニメ化なんてとんでもない!笑 今連載中の作品も坂田銀時メインなので、ぜひよろしくお願いします!ご愛読ありがとうございました!!ヽ(*´∀`)ノ (2018年9月4日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
gin(プロフ) - そして、完結お疲れ様です!他の作品も頑張ってください!応援しています! (2018年9月4日 21時) (レス) id: e17fc6e5e7 (このIDを非表示/違反報告)
gin(プロフ) - とても面白かったです!一気読みしちゃいました笑笑銀さんおしの自分にとってまじで最高の作品でした!読み終わった時に、あぁ、こんな恋愛してみたいなーなんて思ったり笑笑心が暖まるあったかいお話でした!アニメ化なんないかな?笑笑 (2018年9月4日 21時) (レス) id: e17fc6e5e7 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おもしろくて一気読みしてしまいました!! 完結お疲れ様です◎ 心がホッとするような、何かに気付かされるような、そんな素敵な作品だと思いました。これからの作品も楽しみにしています (2018年9月2日 11時) (レス) id: 451abd5f16 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 暁さん» 心温まるコメント本当に本当にありがとうございます!!実は、書きながら模索してストーリーを作っていくのですが、こうしたら読者も予想できない展開になるはず...で辿り着いたのが高杉元カレでした笑笑他の作品も読んでいただき光栄です!ありがとうございます! (2018年9月2日 3時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2018年6月10日 2時