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花束39 ページ39

多田は、俺に好意を抱いていた。

恥ずかしそうに眼をそらし、彼女はその事実を俺の目の前で言ってくれた。

けど、今はそんなことは思っていないという。

なぜ。

それは、奈々が原因だと多田は言った。


「実は、奈々さんとは大学のサークル仲間で…」


高校を卒業した奈々は短期大学に入学。

無事20歳で卒業し、就職するため上京したのは知っていた。

まさか、そんな繋がりがあったなんてな…。

奈々は変わっていなく、俺が部活に励んでいた時の様に、後輩の多田を可愛がったそうだ。

2人はかなり仲が良くなり、今でも連絡をしているという。


「それで教えてもらったんです。高校時代に、坂田さんと付き合ってたこと…」


「はぁ…なるほどな。で、俺の連絡先欲しいとか言ってきたんすか?」


予想は的中していたみたいだ。多田は大きく目を見開いた。


「言ってしまうと、奈々さん坂田さんにまだ未練があるっておっしゃってまして…」


未練ねぇ。

付き合って2回ともふったのは奈々だ。

なのに未練なんてな。

ないのも等しいだろう、そんなの。


「もしよければ、来週の日曜日、このお店に来てはいただけませんか」


机にサッと出されたのは、店の住所と時間の書かれた紙だった。


「どうしても会って謝罪がしたいって…」


この前のことだろうな。

冷静じゃいられなくなった俺は、つい奈々に怒鳴ってしまったあの日。

俺自身も少し引っかかっていた部分もあった。

このまま顔を合わせないでいるのは、ちげぇ気がする。



「夜8時でいいんすよね」


「はい」


「わーった。…行きます」


ため息交じりに了承すると、なぜか多田は寂しさを混ぜた笑顔で頷いた。

多田にとっては、これは喜んでいい物なのか分かんねぇよな。


「すいません、こんなことに巻き込んじゃって」


「い、いえ…そんな」


「そんないい後輩しなくても、多田さんの事ちゃんと分かってるから。あんま無理しないでください」


最近の多田はめちゃくちゃ仕事熱心になった。

課長の事件があってから、かなり身が入ったと思う。


「そんなこと…言わないでくださいよ」


声が震えだした彼女に驚き顔を上げると、大粒の涙を流す彼女がいた。

え、あ、俺なんかまずいこと言ったか!?

急いでポケットからハンカチを取り出し、彼女の頬に押し付ける。


「お、おい…」

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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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お茶(プロフ) - ginさん» 暖かいコメント本当にありがとうございます!私の妄想癖が爆発した作品です...笑アニメ化なんてとんでもない!笑 今連載中の作品も坂田銀時メインなので、ぜひよろしくお願いします!ご愛読ありがとうございました!!ヽ(*´∀`)ノ (2018年9月4日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
gin(プロフ) - そして、完結お疲れ様です!他の作品も頑張ってください!応援しています! (2018年9月4日 21時) (レス) id: e17fc6e5e7 (このIDを非表示/違反報告)
gin(プロフ) - とても面白かったです!一気読みしちゃいました笑笑銀さんおしの自分にとってまじで最高の作品でした!読み終わった時に、あぁ、こんな恋愛してみたいなーなんて思ったり笑笑心が暖まるあったかいお話でした!アニメ化なんないかな?笑笑 (2018年9月4日 21時) (レス) id: e17fc6e5e7 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おもしろくて一気読みしてしまいました!! 完結お疲れ様です◎ 心がホッとするような、何かに気付かされるような、そんな素敵な作品だと思いました。これからの作品も楽しみにしています (2018年9月2日 11時) (レス) id: 451abd5f16 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 暁さん» 心温まるコメント本当に本当にありがとうございます!!実は、書きながら模索してストーリーを作っていくのですが、こうしたら読者も予想できない展開になるはず...で辿り着いたのが高杉元カレでした笑笑他の作品も読んでいただき光栄です!ありがとうございます! (2018年9月2日 3時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2018年6月10日 2時

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