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花束28 ページ28

望み通りのアレンジになった様なので、会計を済ませた。

彼女は花束が入った袋を大事そうに抱え、こちらに振り向く。


「お花、いっぱいありがとう、お兄さん!」


ゆっくり、丁寧に、なおかつ俺に伝わるように。

元気よく笑顔を見せてくれたその子に、俺は小さく手を振った。

花屋の仕事なんて、人生の中で経験することなどないと思っていた。

けど、俺の仕事より何倍も難しくたくさんの経験値が必要なのだと実感させられた。



来る客に花の名の由来や花言葉など、専門的な知識を求められる時もあった。

つまり、Aはそういう客の対応も丁寧に心がけているということになる。

手は荒れるわ莫大な知識はいるわアイディアはいるわで、仕事量は半端じゃない。

すげぇな…。

親の跡を継ぐために努力を惜しまない。

俺が親父だったら、Aみてぇな娘は鼻高ぇな。


「旦那、休憩にしやしょう」


「お、おう」


声がかかり、パイプ椅子の背もたれにエプロンをかける。

自分の手を見ると、いくつもの小さな傷が出来ていたことに気づく。

手袋を付けたり外したりするのが面倒になり、途中から素手で作業を行っていた。

細かい葉に切られたんだろう。


「花屋の手ですねぃ。板についてきたって感じですかぃ?」


からかうように笑われたが、悪い気にはならなかった。

仕事に精を出し、その結果が皮膚に表れるのは面白い。

いい仕事じゃねーか。



その後も俺は、真面目に働き、手のひらに傷を増やした。

接客業は不得意な分野なので避けていた俺だったが、こうして客と話すのも悪くないと思うようになった。

客の個性もあれば、花の個性もある。

それが、ここの魅力なんだろうな。

あと来週1回でこの仕事が終わってしまうと考えると、少し寂しく思うほど楽しかった今日。

かなり貴重な体験をしたとも、同時に思った。


「お疲れです、旦那」


「あぁ、お疲れ」


「何だかんだしっかり働いてくれたんで、安心しやした」


「俺をなんだと思ってんだコノヤロー」


「っへへ、いやぁ客を目の前にすると声が小さくなるんで、この人仕事できねぇ人だと思ったんですがねぃ」


「なめんなよ」


楽しかったのには変わりねぇ。

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設定タグ:銀魂 , 坂田銀時 , 夢小説   
作品ジャンル:恋愛
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お茶(プロフ) - ginさん» 暖かいコメント本当にありがとうございます!私の妄想癖が爆発した作品です...笑アニメ化なんてとんでもない!笑 今連載中の作品も坂田銀時メインなので、ぜひよろしくお願いします!ご愛読ありがとうございました!!ヽ(*´∀`)ノ (2018年9月4日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
gin(プロフ) - そして、完結お疲れ様です!他の作品も頑張ってください!応援しています! (2018年9月4日 21時) (レス) id: e17fc6e5e7 (このIDを非表示/違反報告)
gin(プロフ) - とても面白かったです!一気読みしちゃいました笑笑銀さんおしの自分にとってまじで最高の作品でした!読み終わった時に、あぁ、こんな恋愛してみたいなーなんて思ったり笑笑心が暖まるあったかいお話でした!アニメ化なんないかな?笑笑 (2018年9月4日 21時) (レス) id: e17fc6e5e7 (このIDを非表示/違反報告)
アカツキ(プロフ) - おもしろくて一気読みしてしまいました!! 完結お疲れ様です◎ 心がホッとするような、何かに気付かされるような、そんな素敵な作品だと思いました。これからの作品も楽しみにしています (2018年9月2日 11時) (レス) id: 451abd5f16 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 暁さん» 心温まるコメント本当に本当にありがとうございます!!実は、書きながら模索してストーリーを作っていくのですが、こうしたら読者も予想できない展開になるはず...で辿り着いたのが高杉元カレでした笑笑他の作品も読んでいただき光栄です!ありがとうございます! (2018年9月2日 3時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2018年6月10日 2時

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