拗らせ王子と純情娘 ９ ページ9
どうにかまた会話を再開出来ないか模索するが、いい話題が思い浮かばない。
普段質問したいことなんて山ほどあるんやけどな、肝心なとこで出て来おへんのは俺のヘタレ加減が出てるわ。
「今日天気いいねー」
「あー、そっすね」
いやこれA先生も悪いやろ。
なんやその話題提供。
典型的なダメな例やろそれ。
無理に気を使われているのだろうか。
だとしたらかなりショックである。
「…ショッピくんは天気なら一番どれが好き？」
「は？」
「私はね、雨が実は一番好きなの」
まさかの天気の話が広がった。
しかしA先生の話というだけあって興味のある内容に耳をそっと傾ける。
「ジメジメしてて憂鬱になりやすいけど、本当はそんなことないのよ？例えば、二人で並んで歩くとするでしょ？」
すると、日直が綺麗に掃除した黒板に白いチョークを立て何か描き出した。
繊細な線で描かれたそれは、めちゃくちゃ上手い傘と人の絵。
え、先生って絵描くの上手いんすか。
知らない一面を知り得した気分になる。
「雨の日は傘同士がぶつからないように多少距離を空けるじゃない？傘に落ちる雨音も心地いいけど、少し相手の声が聞づらいよね。ってことは、二人はいつもより相手の声をしっかり聞こうとするのよ」
何だか楽しそうに雨や矢印を付け足して説明していくA先生。
「それって素敵な事だと思わない？」
振り向いたA先生の笑顔は、本当に綺麗だった。
純粋な瞳を揺らし目尻を下げ優しく微笑んでいる。
普段無邪気に生徒と笑っている姿しか見たことがなかったから、その珍しい顔の作り方にドキッとした。
「…先生って面白いっすね。そんなこと考えたこと無かった」
心が穏やかな気分になり同じように微笑み返すと、先生の顔がみるみるうちに赤くなっていった。
「や、な、なんか変なこと話しちゃったかな…」
慌てて黒板消しを手に絵を消していく。
その小さな後ろ姿をじっと見つめながら、口を開いた。
「そんなことないっすよ」
ゆっくり振り向いたA先生の目は見開かれていて。
「雨の日、好きになれそうっす」
放課後の時間。
外の運動部たちの掛け声がこだまする教室。
耳まで真っ赤にした先生の照れた顔が、あまりにも珍しく胸が擽られたような気がした。
もっとこの人の内面を知りたい。
もっと知らない顔を見てみたい。
俺だけに見せて欲しい、と。
そんなことを思いながら、また再テストを受けたのだった。
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てきとーさん - チヨちゃぁん……チヨちゃんっ！幸せになってくれ… (2021年1月21日 7時) (
レス) id: 2e24d3a77d (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みかげさん» わぁありがとうございます！！泣 チヨちゃん可愛いですよね！？(？) (2020年9月7日 23時) (レス) id: 439e2c470d (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - 完結おめでとうございます……！！shp君……君イケメンすぎん！？ってかチヨちゃんかわ……チーノさん羨まし(殴)めちゃめちゃおもろかったです！！ありがとうございました！ (2020年9月7日 17時) (レス) id: 946825ef56 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 粉みるく。さん» ちょっと見たいというコメを見たので、、、！ (2020年7月13日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
粉みるく。(プロフ) - ば、番外編…w わーいチヨちゃんだぁぁぁぁ！ (2020年7月13日 23時) (レス) id: 091f5a802b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：お茶
| 作成日時：2020年5月20日 1時
