検索窓
今日:1 hit、昨日:2 hit、合計:150,080 hit

拗らせ王子と純情娘 34 ページ34

〜sn side〜


授業四時間目。

授業がない教員は昼ご飯を食べる時間だが、彼女は控えめに保健室の扉を叩いた。


「どーぞー」


青ざめた顔で弱々しくドアを開けたのはAちゃん。

今日はチヨ先生もいるので、二人は顔を合わせるとお互いにペコペコと挨拶を交わした。


「すいませんチヨ先生、彼女と昼食をとりたいので四時間目の間はお願いしてもよろしいでしょうか」


「大丈夫よ〜、行ってらっしゃい」


「あ、え、」と慌てている様子の彼女の手を取り、さっさと保健室から退出。

食堂に行こうと促せばコクンと小さく頷いたのだった。


「何にしよーかなー」


A定食かぁ…。でも今日は魚より肉食いたいな肉。


「Aちゃんはお弁当?」


「あ、はい」


「そっか」


不自然な笑顔。

確実に素直に笑えていないAちゃんを見て下手に声はかけない。

その方が彼女のためでもある。

この子は意外にも繊細で脆い。

慎重に言葉選びをしなければ簡単に傷をつけてしまう。

だから、ゆっくりとまずは聞いてあげることから始めなければ。

B定食を選択し、二人で食堂の端へ座る。

正面に座った彼女は手を合わせ、まずはお茶を一口口に含んだ。


「で?ショッピくんに告白されたんやろ」


「ッブゥゥ!!!」


あ。

っえへ、慎重どころかどストレートに聞いちゃった。

いやだって分かりやすいんやもーんAちゃん。


「ど、どうしてそれを…」


「困っとるん?考え込んどるん?それとも」


迷っとるん?

最後の選択肢を口にすると、彼女はピシッと固まった。

俺の問いかけから逃げるように目を逸らされる。

ここまで動揺しているということは、彼女の中でショッピくんはもう

ただの生徒じゃないってことかもしれへんな。

きっとショッピくんはAちゃんの何かを刺激し、何かを変えられる子なのかもしれない。

と、そんな期待をそこそこにトンカツをつつく。


「君にとってショッピくんとあの子は全く違う存在やろ?重ねとるんちゃうかなって思っとるんやけど、どうなん?」


逸らされた目は大きく見開かれた。

明らかに確信をついた一言だったのだろう。


「…重ねたつもりはなかったんです。その…、ショッピくんは少しあの子と似ているような気がして」


「せやなぁ、ドライなところは似とるかな〜」


「ショッピくんはドライじゃないですよ」


「…ほう?」


「かといってあの子がドライって訳でもないです…」


あの子、ねぇ…。

拗らせ王子と純情娘 35→←拗らせ王子と純情娘 33



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (265 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
616人がお気に入り
設定タグ:wrwrd , shp , d!
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

てきとーさん - チヨちゃぁん……チヨちゃんっ!幸せになってくれ… (2021年1月21日 7時) (レス) id: 2e24d3a77d (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - みかげさん» わぁありがとうございます!!泣 チヨちゃん可愛いですよね!?(?) (2020年9月7日 23時) (レス) id: 439e2c470d (このIDを非表示/違反報告)
みかげ(プロフ) - 完結おめでとうございます……!!shp君……君イケメンすぎん!?ってかチヨちゃんかわ……チーノさん羨まし(殴)めちゃめちゃおもろかったです!!ありがとうございました! (2020年9月7日 17時) (レス) id: 946825ef56 (このIDを非表示/違反報告)
お茶(プロフ) - 粉みるく。さん» ちょっと見たいというコメを見たので、、、! (2020年7月13日 23時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
粉みるく。(プロフ) - ば、番外編…w  わーいチヨちゃんだぁぁぁぁ! (2020年7月13日 23時) (レス) id: 091f5a802b (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:お茶 | 作成日時:2020年5月20日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。