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隣人さん 7 ページ7

華の金曜日とはよく言ったものだ。

会社の裏事情を見ればこんなものさ。

上司部下関係なく残業パーティーである。


「今日は何時に終わるかなー…」


ボソボソ呟きながらキーボードに手を添えると、コネシマくんが椅子ごとこちらに身を寄せてきて。

ジーッとガン見される。


「な、何でしょうか」


すると、自然と手が伸びてきてそれは私のおでこにピトッと添えられた。

ギョッとすると彼は目を瞑りうーんと唸る。


「熱は無いみたいやな。よしよし」


こ、この男は…!!!

急いで離れ赤くなった顔を隠すように書類の山に身を隠した。

無自覚たらしチワワめ。


「辛くなったら声かけるんやで」


「今日は気持ち悪いくらいに優しいね」


「気持ち悪いってなんやねん!いつも優しいやろ!」


「っふふふ」


あぁくそ、笑ってしまった。

コネシマくんは私を元気付ける天才なのかもしれない。


暫くお互い無心で作業を進めていると、私の仲良いい女の先輩が声をかけてきた。


「ごめんAちゃん、ちょっとこれお願い出来ない?」


「えっと…」


明らかに先輩の分の仕事。

マジか、今か。


「今日用事あってすぐ帰らなくちゃなの、頼めるのAちゃんしかいなくて…」


あびゃ〜…それ前にも言われたような。

まぁ先輩も忙しいんだろう。

最近彼氏が出来たらしく、そのうちに寿退社とか言い出すかもしれない。

いつも通り書類を受け取ろうとすると、コネシマくんが勢いよく立ち上がった。

ビクッとすると彼はその先輩に向かって睨む。


「俺がやりましょか?それ」


グイッと手を前に出し書類を渡せと威圧するコネシマくん。

先輩は引きつった笑顔で首を横に振った。


「あ、う、ううん!だ、大丈夫。今から頑張ればすぐ終わるよね!ありがとうねコネシマくん」


そのままササーっと逃げるように自分のデスクへと帰って行った。

呆気にとられた。

ポカンと口を開けていると、イライラした様子のコネシマくんがドンッと座り直す。


「このクソ忙しい時に押し付けてくんのアホか思うわ」


助けて、くれた。

じわっと涙が込み上げてきそうになり、慌てて堪える。

助けたい、と言ってくれたことを嬉しく思ったけど。

本当に有言実行してくれるとは思ってなかった。


「これで一匹駆除できたな」


最後の捨て台詞以外本当にカッコよかったので台無しだが、あんな些細なことでも私にとったら救世主が現れたも同然なのだ。

…やっぱり、コネシマくんはすごい。

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ろぜ - 軽い気持ちで読んだら大好きになりました!!にやにやが止まりませんね。これからも頑張って下さい! (6月23日 17時) (レス) @page50 id: 3f33f1430a (このIDを非表示/違反報告)
ななし - この話すごく大好きです!読んでいてきゅんきゅんしました!これからも頑張ってください!! (2022年12月12日 19時) (レス) @page50 id: 9bdb69c685 (このIDを非表示/違反報告)
防弾チョッキ - ううううううううううううう!!!!!!!しんじゃう!!!大好きです!!ありがとうございます!! (2022年3月22日 15時) (レス) @page50 id: 8a217b576f (このIDを非表示/違反報告)
レイ - えrいけどシッマかわえぇぇぇぇ!!!!!!!!!!! (2021年9月1日 18時) (レス) id: dbadc04c4b (このIDを非表示/違反報告)
レイ - 最高かよぉ〜〜〜 (2021年9月1日 18時) (レス) id: dbadc04c4b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2020年4月2日 21時

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