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ハッピーエンド37 ページ37

彼は慣れたように、丘の上の大木に足を進めた。


「何回か来たことあるんですか?」


後ろ姿に声をかける。

すると、彼は木に到達すると、背を委ね寝る体勢に入ってしまった。

頭の後ろで手を組み、気持ちよさそうに目を瞑る。


「もう…」


またいつもの総悟くんだ、と思いながらも、私も彼の隣へと行く。

そっと座り、水筒やナプキンなど並べた。


「何回か、ってほどじゃねぇですが。Aさんと出会う前は非番の日によく来てやした」


目を瞑りながら話す総悟くん。

チラッと横目で見れば、静かに呼吸を繰り返していた。

眠たそうに欠伸をする彼。


「どうやって見つけたんですか?」


「あー…なんだっけなぁ…」


徐々にボリュームが下がっていく声。

静かな寝息が聞こえたので見てみれば、長いまつ毛を揺らしながら寝てしまっていた。


幼い寝顔。

無垢な少年に見える。

会った当初、というより、年齢を言われるまでは私の年上かと思っていた。

どこか影があって、無慈悲なような瞳を時々する人で。

怖い、なんて印象があった。

けどそれはどれもこれも、過去の事や今の苦労があってのこと。

本当は、ただの青年なんだ。


そっと前髪に触れ、整えてあげる。

栗色の柔らかい質の髪は、小さい子の様。

疲れてたのかな、久しぶりの非番だもんね。

なのにこんな遠出してくれて、私をこんな素敵な場所に連れてきてくれて。

…私、幸せ者だな。


「総悟くんは、どんな色が好きですか?どんな食べ物が好きで、どんな季節が好きですか。教えて欲しいんです、あなたの好きな物を。…過去を」


声が、震えた。

何故か鼻の奥がツンとし、涙が目に溜まる。


「苦しいものを、抱えてるものを、堪えきれないものを、教えて欲しい…」


貰ってばかりはやっぱり違う。

恋人というパートナーになれたんだ、お返しがしたい。

そう思うのは、彼が素敵な人だからだ。

私の好きな人だからだ。


目に溜まった涙は、ついに頬を流れた。

その時。

そっと、手が伸びてきた。

ビックリして目を見開くと、その手は私の頬に触れ、涙を拭う。

優しく人差し指で涙を拭いてくれて。


「俺は、あんたがいれば充分でさァ」


優しい声で、年下の彼が言ってくれた。

その言葉にさらに煽られ、涙が溢れる。

この人と一緒にいたい。

私が今度は守れるようになりたい。

きっと総悟くんの事だから、女に守られたくないなんて言うと思うけど。

それでも私は…

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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