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ハッピーエンド36 ページ36

だだっ広い畑が広がり、風の音が静かな村に響き渡る。

総悟くんは、言っていた通りド田舎に連れてきてくれた。

昔、似たような場所に住んでいたので故郷を思い出す。

新鮮で美味しい空気や、穏やかに流れる時間。

柔らかい太陽の光が、私たちを優しく照らしてくれていた。


「ちょっと歩くんですけど、大丈夫ですかィ」


私の足元を見る彼。

ピクニックと聞いたので、運動靴で来た。

動きやすい格好にし、化粧もナチュラルに。

色々持ってきたから、多分大丈夫だろう。

強く頷くと、彼は少し目を細め笑ってくれた。


ド田舎、なんて響きは悪く聞こえるかもしれない。

けど実は、私はものすごく楽しみにしていた。

江戸みたいな都会もいいけど、のどかな雰囲気の田舎の方が好きだったりするからだ。


「どうしても連れていきたい場所があるんでさァ」


「っふふ、総悟くんがどうしても、なんて珍しいですね」


「Aさんと一緒に行きてぇ場所なんで、どうしても」


「楽しみです」


「じゃ、出発しやーす」


総悟くんの号令と同時に繋がれた手。

キュッとお互いに握り、ゆっくりと歩き出した。


途中、畑仕事をしている方々に声をかけられた。

年配の方たちが多く、若者二人が田舎道を歩いているのが物珍しいのかたくさんの方が話しかけてくださった。

聞かれるのはもちろん、「どちらへ?」

けど、総悟くんは私にまだ教えたくないのか、「散歩してるんです」の一点張り。

隣でつい笑ってしまうと、総悟くんは決まって照れたように目を逸らした。


大きな畑たちは遠ざかり、少しだけ険しい道に来た。

周りは森林で、足元はジメジメしている。

上を見上げれば、草木から顔を出す太陽の光が優しく輝いていた。

綺麗…。


「Aさん、前」


うっとりと眺めていると、総悟くんが声をかけてくれた。

総悟くんを見ると、彼は真っ直ぐと指さしていて。

目で追えば、開けた道が。

その先に広がっていたのは、野原だった。


「わぁ…」


思わず声が漏れる。

野原に足を踏み入れると、視界が開き、明るい世界に感動する。

足元を見れば、白や桃色の小さな花達が咲き誇っていて。


「すごい、素敵な場所…」


丘や、一つだけ中心に佇む大木や、聞こえてくる鳥の鳴き声。

美しい光景に、すぐ心は奪われた。


「ここなら、余計なことは考えずにAさんと一緒にいられる」


独り言のように呟かれた言葉は、どこをとっても優しくて。

胸が熱くなる。

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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