ハッピーエンド34 ページ34
「いや〜まさか総悟に彼女ができるとはな〜」
ここは、真選組の屯所である。
来て欲しいと総悟くんに言われ、やってきた次第だ。
通されたのは客間で、隣には総悟くんが座り、私の目の前には局長の近藤勲が豪快に笑っている。
ホクホクと嬉しそうに頬を染め、綺麗な真白の歯を見せた。
「これからも、総悟をよろしくお願いしますね!」
「は、はい!こちらこそです!」
よく街で見かけるが、こうして話すのは初めてだ。
きっと総悟くんの彼女じゃなければ、この人と話すことなんて一生なかった。
にしても、とても父性の強い人だ。
体格もそうだが、強くそして優しい話し方や、総悟くんを息子のように思っている姿がよりそう思わせる。
寛大な心を持ち、誰よりもお人好しと聞く。
少し話してみて、なるほどと思った。
噂の近藤勲は、流行り噂通りいい人だったんだなぁ…。
「総悟、少しAさんと二人で話がしたい、席外せるか?」
すると、先程までニコニコと愛想のいい笑顔をしていた近藤さんが、急に真顔になった。
ふ、二人!?私と!?
動揺が隠しきれない。
ガッと隣の総悟くんを見れば、いつもと変わらない表情で既に立ち上がっていた。
「そこら辺のマヨというマヨを撲滅してきまさァ。さすがにホットドッグにはケチャップでィ…あのクソ野郎一生許さねぇ」
きっと土方さんに何かやられたんだろう。
ハハハッと苦笑いすれば、総悟くんは私を見た。
そして微笑すると、近藤さんに小さく頭を下げ出て行ってしまった。
や、やばい…初対面の人と二人っきりになるなんて。
しかもご指名ありきの二人っきりだ。
「Aさん」
「ひゃ、ひゃい!!」
優しい声で呼ばれたのにも関わらず、大きな返事をしてしまった。
すると、彼は柔らかく笑ってくれた。
「総悟から少しだけ話は聞いてたんですよ、甘味所にいる年上の女性が気になると」
それは、まるで我が子の自慢話を聞いた父親の様な表情。
誇らしく、そして少し寂しそうな声音に、心臓がチクッとする。
「昔っから自分のことは何にも話してくれねぇ総悟が、初めて自分から言ったんですよ。そりゃ嬉しくて嬉しくて」
「そ、そうだったんですか…」
「…でね、Aさん。一つお願いがあるんです」
圧をかけないように、ふんわり表情を崩す近藤さん。
ゴクリと息を飲むと、彼は真剣な眼差しで口を開いた。
「アイツから離れねぇでやってください。どうか、受け止めてやってください」
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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時