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ハッピーエンド33 ページ33

少し遠回りをして、過去を教えてもらった。

総悟くんの過去だ。


彼の両親は、彼が幼い頃に亡くなったという。

だから、唯一の肉親である沖田ミツバさんに育てられ、二人で生活してきた。

優しく品のある女性で、辛いものが大好きで、「おかえり」と言ってくれる人で。

お姉さんの話をしてくれている時の総悟くんは、とても幸せそうだった。

しかし、その笑顔はしぼみ、悲しげな表情に変わる。

そこで言われたのは、お姉さんの死だった。

肺を患っていて、給料を治療費や医療費に費やしていたが、もう長くないと医者から言われていたという。


「最後まで綺麗な人でしたねィ。俺はあの人の為に生まれた男だったんだと、その時生きた心地がしたんでさァ」


まつ毛が静かに揺れ、目を細める総悟くん。

瞳の色は薄く、月明かりに照らされて輝きを増していた。


「お姉さんは、きっと総悟くんが弟で幸せだったでしょうね」


ポロッと、感じたことを口に出す。

返事がなかなか返ってこなかったので、総悟くんを見てみた。

すると、彼は目を見開き固まっていたのだった。

そして今度はクスッと笑い、眉を八の字にする。


「似てるんですよ、あんたと姉上が」


「え、ええぇぇえ!!??いやいやいやそんな!!とんでもないですよ!!!」


繋いでいた手を離し、顔の横でブンブン横に振る。

と、総悟くんは私の手首をガシッと掴む。

そのまま強引に自分のそばまで私を引っ張ると、顔を近づけた。


「でも違ぇや。似てるが、似てねぇ。AさんはAさんだ」


優しい声だった。

静かに、囁くように、消えてしまいそうな声。

何故か私は泣きそうになり、鼻の奥がツンとする。

彼の綺麗な赤い瞳が、私を捕えた。

ゆっくり顔が近づいてきて、また少し総悟くんのまつ毛が揺れる。

右頬に手を添えられ、熱を帯びていった。


「もっと、あんたのこと教えてくだせェ」


大人っぽい声音。

そして、彼はそっと


私にキスをしてくれた。


短く、やさしいキス。

その時、総悟くんの想いが私に注がれたような気がした。

ミツバさんに対する、想いと

私に対する想い。

ドキドキと加速する鼓動と、抑えきれない愛しいという感情。

私、やっぱりこの人が好きだ。

憂いを帯びた目をし、遠くを見つめるこの人が。

彼にとって欠かせない存在になりたい。

ミツバさんに認められるような恋人になりたい。

私が総悟くんを、守ってあげられるようになりたい。

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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