ハッピーエンド28 ページ28
「む、無理だよそんな…」
「俺が言えることじゃないけど、少し考えてほしい。そしたら返事、ほしいな」
犬のような可愛らしい笑顔。
その笑顔が急に懐かしくなって、じんわりと目元が熱くなっていく。
どうすればいいか分からない。
もう一度付き合ってやり直すなんて考え、全くなかったから。
冷静になろうとしてギュッと目を瞑る。
すると、頭にポンっと掌がのった。
春樹さんの、大きい手。
「少し歩こうか、ちょっと話そう」
あまりにも優しい声は、今の私には効果抜群だった。
すんなり頷いてしまい、二人で江戸の夜道を歩き出す。
春樹さんが、私達が付き合ってた当時の話をしだして、戸惑ったけど。
けど、やっぱり悪い思い出ではなかったから話が弾んでいく。
あの時の君は、そしたらこう言い返して、結局ああなって。
キリがない思い出たちは、幸せそうな私と春樹さんを蘇らせる。
今、私彼の前で笑えてる。
いつも通りの私で、いられてる。
そう自覚した時、バンっと強い音が鳴り響いた。
私と春樹さんはビックリし、足を止め振り向く。
すると
パトカーの前に立っていたのは、沖田さんだった。
嬉しくなって思わず笑顔になるが
_______友達やめましょうって言ってるんでィ
彼のセリフが頭を過り、その笑顔をしぼませた。
そしたら、急に私と春樹さんの前まで歩いてきて。
挨拶したり、何か文句言ったり。
厳しい口調で、春樹さんに詰め寄ったり。
もう訳が分からない。
最後には二人っきりで話がしたいと言い出した。
「あの、なんで私と春樹さんの関係知ってたんですか」
春樹さんの話の続きを断って、沖田さんについてきた私。
春樹さんと沖田さんは顔を合わせたことがないはずなのに、なぜか沖田さんは私と春樹さんの関係を知っていた。
「あんたと出会ったのは、あの街灯の下じゃねぇ」
「…え?」
「俺がAさんと初めて出会ったのは本屋でさァ。ガキに飲み物ぶちまかれてやしたねィ」
「えっと…ってあぁ!?ももももしかしてあの時の!?なんてとこ見てるんですか!!!」
ちょっと待って、それじゃあ
沖田さんは、私が沖田さんを知る前から私を知っていたってこと…!?
「その次の日に、あんたとあの男を見かけたんでさァ。幸せそうに笑い合ってたのに、一週間後に再会した時には大号泣。聞けばフラれたと」
恥ずかしさのあまり、足を止めてしまう。
そそそそそんな、あんな場面を見られていただなんて…!!
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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時