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ハッピーエンド27 ページ27

優しいおっとりとした口調は相変わらずで、胸が締め付けられる。


「ごめん、話って何?」


すぐに本題に入りたかった私は、そう口に出していた。

自分でもびっくりするほど冷たい声が出て、慌てて言い直そうとした。

けど、春樹さんは「お、おう…ごめん」と謝り、足を止めた。


「あー…そのさ、Aにちょっと頼みたい事があって」


頼みたい事…?

帰宅した私に突然別れようと言ったのに?

その元カノに頼み事??

久しぶりに、怒りという感情が湧いてきた。

ふつふつと湧き上がり、眉がピクっと動く。

けど彼はお構い無しに話を続けた。




「カットモデル、やらない?」




「…へ?」




思ってた返事と全く違う。

その瞬間、プシューっと私の顔から煙が出た。

体温が上昇し、怒りではなく今度は恥ずかしさが湧き上がる。

何それ何それ何それ!!

変な妄想しちゃった私がバカみたいじゃない!!

今好きな人がいるから、ちょっと協力して欲しいとか!そうかと思っちゃたじゃない!!


「ちょ、ちょっと待って急になんで?」


「いやぁ実はさ、俺の店今カットモデル募集してて。アレンジさせてくれる人探してたんだよ」


この人はいつもこんな感じだった。

ポケーっと考え無しに発言する、ちょっと抜けている人。

頼りになる年上のお兄さんだが、時々こうして変なタイミングでズレた話題を持ってくる。


「春樹さんならもっと素敵な女の人に声かけられるよ!?私じゃなくてもいいじゃん!」


「Aの髪って綺麗だからさ。髪乾かしてやる時いつもそう思って…」


そこで、彼は言葉を止める。

いや、息を止めた。

まずい、と思ったのだろうか。

笑顔をゆっくり萎ませ、切なげにまつ毛を下げる彼。

私はそのセリフと同時に、脳裏に焼き付いた記憶が、再生された。

毎晩、私の濡れた髪を丁寧に乾かしてくれた春樹さん。

口癖のように言われた「綺麗」。

あの一時が大好きで、そばに感じる春樹さんの体温が愛おしくて。

ずっとこのまま続くんだろうなぁとさえ思っていた。


「…すげぇ好きなんだよ、A。俺、ちょっと将来の事とAとの関係の事で混乱して、咄嗟に別れようなんて言っちゃったんだ」


な、なに…そんな事…。


「ごめん、今更になってもう遅いかもしれないけど。…やり直したい」


ドクン、と。

私の心臓が音を立てた。

寄りを…戻したい?

考えてもいなかった発言に戸惑う。

春樹さん、何言ってるの…??

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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