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ハッピーエンド24 ページ24

もう一度会うなんてことねぇだろうな。

と、思っていた一週間後。

雨降る夜の巡察。

ビニール傘をさしながらプラプラと歩く。

すると、一人の女が街灯の下で膝を抱えしゃがみこんでいるのが見えた。

だりぃ…。

ここで声をかけずにスルーするのがいつもの俺だ。

だが、その見覚えのある影に違和感を覚えた俺は、気づいたら声をかけていた。


「何してるんでィ」


ゆっくり顔を上げた女の顔は、それは一週間前に変な女だと思った張本人で。

目は真っ赤に染まり、泣きはらした跡がついていた。

間近で見ると、意外と顔立ちがいい。


「子供は帰る時間ですぜィ」


目だけを向け、見下ろす。

なかなか返事がこねぇと苛立つと、か細い声で話し始めた。


「…子供じゃないんです。今年で二十歳なんですよ」


ゲッ、歳上かよ。

そうは見えねぇけどねィ。

頭の片隅でそう思いながら、続く話に耳を傾ける。


「なのに…ただフラれただけでいじけてたんです。情けないですよね、もう大人になるって言うのに」


…。

フラれた、ねィ…。

じゃあ、あの本屋で肩を並べ幸せそうに笑ってた男と別れたってことですかィ。

この様子じゃ、怒りという感情はないんだろう。

怒りを越したのか、人が良すぎてその感情は湧いてこないのか。

この女の事だ、きっと後者でさァ。


俺は「同情」の意味を捨て、傘を傾けた。

ゆっくり顔を上げ、やっと目を合わせた女に口を開く。


「女は泣くのが仕事でさァ、何も恥ずかしいことじゃねぇと思いますけどねィ」


…きっとこの女は、あの人に似てるんだ。

だから声をかけたくなっちまったし、本能が守れと言った。


「…めんどくせぇけど、家まで送りまさァ。こんな夜に女一人歩かせたくねェ」


本音は、あんたに興味を持ったから送らせろ。

そんなこと言える訳もなく、遠回りな言い方で腕をつかみ無理やり立たせた。


「ありがとうございます」


顔を上げ、俺に向かってお礼を言った女の顔を見て目を見開く。

悲しいなら、無理に笑わなくていい。

あの人とこの女の姿が重なり、つい目をそらす。


似ていたからか、懐かしく感じたからか。

家まで送って、無理やり家にまであがって。

名前を聞き出して、いつでも真選組に来いとまで言った。

自分でも何がしてぇか分からなかったが。

きっと、Aさんをもっと知りたいと思ったんだろう。

けど…日を重ね、デートまでこぎつけた日。

攘夷浪士に殺意を向けたあの日。

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お茶(プロフ) - アクヤさん» 素敵なコメントありがとうございます!頑張ります泣 (2019年11月9日 20時) (レス) id: 7f31983ff2 (このIDを非表示/違反報告)
アクヤ(プロフ) - とても面白いです!これからも頑張ってください!応援してます! (2019年11月9日 17時) (レス) id: 64d635022a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年9月1日 1時

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