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箱庭の海48 ページ48

子供の様にはしゃぐAが、キラキラと目を輝かせていた。

水族館に来た。

有名なデカい所だ。

Aがリクエストしたデートスポット。


「初デートが水族館って、なんかいいな」


クラゲを目で追いかけていたAの隣に行き、そう声をかける。


「そっか、これ初デートか。なのに寝坊したんだ銀時くん」


「わ、悪かったって」


「いーよ。忘れられない良い思い出になったから」


目を細め、幸せそうに笑うA。


普通のデートがしたい、とAが言い出した。

沖田と付き合ってた時も、まともにデートというデートをしたことが無かったと言う。

高校に入ってからは普通の恋愛なんてしたことが無かったAは、普通の交際に憧れていたそうだ。


「ねえ見て、あの子綺麗な色してる」


別の水槽に移り、小さな魚を指さすA。

そばに行き指の先を見れば、黄色の魚が体を休ませていた。

ふと、Aの横顔を見る。


「前から思ってたんだけどよ」


「んー?」


「Aの目の色って綺麗だよな」


そう言うと、Aはこちらに振り向いた。

深い青色の瞳は、海底のよう。

ずっと、そう思っていた。


果てしなく続く海は広大で自由だ。

けど、Aの瞳の色はそうは見えなくて。

まるで…箱庭に閉じ込められているようで。

深く、飲み込まれそうなほどに神秘的な青は、どこか切なくて。


でも今は違う。

今のAの瞳の色は


「空みてぇ」


透き通る、スカイブルー。

全てから解き放たれたように輝く、空色。

綺麗だ。


「じゃあ銀時くんは太陽かな」


「…あ?」


「私が空なら、銀時くんは太陽。だって、銀時くんの瞳の色は真赤だから」


綺麗だよ、と笑うA。

太陽、か。

初めて言われた。

くすぐったい空気が心地いい。


「私ね、こんな瞳の色してるから、小さい頃は怖いねってよく言われてたの」


水槽に目線を戻すA。

綺麗な魚を見ているはずの目は、どこか遠くを見つめている。

昔を思い出しているのだろうか。


「ほら、小さい子って容赦ないじゃない?素直に思ったことパッと口に出しちゃうからさ。だから…うん」


すると、Aの視線は俺の目に移る。

深く覗きこまれ、心臓がドクンと音を立てた。


「ありがとね、嬉しい」


微笑む彼女からヒシヒシと伝わる昔の感情。


「俺、ガキだった頃のAに会いてぇな」


「なんで?」


「思いっきり抱きしめてぇ」


「ロリコン?」


「違ぇわ!!!」

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年4月10日 1時

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