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箱庭の海36 ページ36

「なぁ、あれ桜田さんじゃね?」「かわい〜…」


同じクラスの男子がグラウンドを指さす。

何事かと思い目を向ければ、純白のドレスを着ているAが審判用の旗を持っていた。

な、なんだありゃ。

俺の学校の体育祭は、衣装部門というのがある。

クラスで衣装を考え、モデルに着させる。

クオリティが高ければ高いほど評価され、点数に繁栄するのだが。

E組はAを選んだってわけか。

よく引き受けたな。

というか、あいつ体育祭実行委員だったっけか。

体育祭実行委員は、主に審判や生徒の誘導を務める。

体育祭だけの活動になるので、その日だけ仕事をすりゃいいと人気の高い委員会だ。

あいつらしいか。

面倒くさそうに旗を上げた下げたりしている。

ねえ今あの判定で大丈夫なんすか、あってるんすか。


「さ、坂田くん…」


Aを凝視していたら、クラスの大人しそうな女子に話しかけられた。


「ん?どした」


「当日まで黙ってたんだけどね…ほら、言ったら坂田くん絶対断るかなって思って」


「え?俺が断る?なになに、大丈夫だから言ってみって」


メガネをクイッと恥ずかしそうに人差し指で持ち上げ、目をそらす彼女。

周りにいた女子達は、彼女の肩に手を置き頑張れと囁く。

なーんか嫌な予感すんな。

目を細くしその予測を立てる。

すると、彼女は、いや。

彼女たちは、一斉に何か前に突きだした。


「頑張って作ったの…。衣装部門、坂田くん着てもらえないかな?」


「…は?」


彼女たちの手元を見れば、王冠や肩章や手袋やピアスやズボン。

そして、話しかけてきたメガネの女子は、バッと上着を広げて見せた。


「王子様、だよ」


目を輝かせ、期待の眼差しを俺に向ける。


「サイズも全部坂田くん専用なの。お願い!今日のために徹夜で毎日頑張ったんだよ!!」


マジですか、普通こういうの土方がやるんじゃないんですかね。

そう思いちらっと土方を見る。

…は。

すると、やつは真っ黒の王子様衣装を着こなしていた。

な、なんだありゃ。

あれ、デジャブ?


「なんだよその格好」


「そりゃこっちのセリフだ。急に渡されて土方くんサイズに合わせたから頼むって言われたんだよ。断れるわけねぇだろ」


「あ、俺は白の王子でお前は黒の…」


思いっきし髪の色にちなんだ衣装なんだな、これ。


期待の眼差しがあまりにも強く痛かったので、俺は仕方なく着た。

バシャバシャと写真を撮られたのは言うまでもない。

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作者名:お茶 | 作成日時:2019年4月10日 1時

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