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フゥリを寝かせた豹が戻ってくるなり亞琉斗に掴みかかる
｢…知ってることを吐け…｣
｢おい豹！亞琉斗だって病み上がりだぞ！｣
｢……知らねぇよふざけんな…｣
無理やり引き剥がされた豹は舌打ちをし、乱暴にソファに腰掛けた
彼は極度の人間嫌いであり、ほぼ信頼し切ってるのはフゥリしかいない
同時に亞琉斗を嫌っていたのだ
しかし今回は亞琉斗も被害者だ
険悪な空気が部屋を包んでいた
｢ねぇ！！ヤバイ！！！｣
場違い極まりなく扉を派手に開けてきたのは虎
豹にギロリと睨まれ小さく悲鳴を上げたがすぐにとんでもない来客だと騒ぎ立てた
怪訝そうにフゥトが玄関に向かうと男性と少年が立っていたが
獣の耳と尾が生えている、どちらも獣人だった
豪華な洋服を纏い堂々たる出で立ちは他を圧倒せる
金色に揺れる尾を見てライオンだろうかとぼんやりそんな事を思いながらフゥトは来客を通した
｢…国王…｣
豹が珍しく目を丸くさせてそう呟いたので薄々思っていたことが確信へと変わる
綺麗な笑顔を作るフゥトの警戒は増す
｢どういったご用件でしょう？｣
｢あぁ……君達に警告をしに来た。｣
男、国王は獅と名乗った
孤児院として、豹と虎の辛い過去を掘り返したくはないので彼らの情報を聞き出さなかったフゥリとフゥト
初めて彼らの故郷があることを知る
獅はよく通る声で話始めた
｢君達はこの世界の構成を知っているかい？｣
｢……構成？｣
｢この世界は
俺達獣人の【獣】の国、
悪魔や天使が共存する【魔】の国、
妖が集う【妖】の国、
そして君達人間が生きる【人】の国がある。｣
国とはフゥト達が知るよりも遥か大きい規模の話らしい
自分達が空想だと考えていた世界が確実にあると断言されたことになる
｢そして重要なのはここからだ。
国にはそれぞれ王の器となる、つまりは王がい る。｣
｢……王？…貴方のような方のことですか？｣
問いかけに獅は首を横に振る
なんだかここまでくると訳が分からなくなってくる
｢人間達が考える王とは、大統領や皇帝のことだろう。そうではない、神に選ばれた者だ。
確かに俺は国王だが、同時に王の器でもある。
そして、人間の王は霜桜フゥリだ。｣
その場にいた全員が凍りついた
只事ではないことが容易に理解できた
今まで黙っていた豹が強ばった表情で口を開く
｢選ばれたら、どうなるんです？｣
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作者名：灰猫 | 作成日時：2016年12月7日 5時
