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｢ゲッ……亞琉斗じゃん……｣
｢うるせーよ餓鬼｣
着いて早々帰りたくなる
この孤児院にいる人は皆変わっている
この世にいるはずが無い、勿論世間ではそう認識されてる悪魔やら獣人やらが、いる
千鳥だって殺人鬼である
｢あ……亞琉斗くん……！？｣
、
そんな個性的なメンバーを集めたのは他でも無い
この孤児院の創設者、霜桜フゥリだ
誰にでも手を差し伸べる優しすぎるフゥリが亞琉斗は苦手だったのだ
｢亞琉斗と俺の部屋にいるから、なんかあったら来いよ｣
｢お菓子持ってくね！｣
引きずられるように2階の千鳥の部屋に案内される
家具なんかが新調されてなんだか新鮮だった
運ばれてきた菓子とジュースを摘みながら話をする
孤児院の賑やかさに慣れない亞琉斗は今は一人暮らしだ
｢……うるせーな。｣
鬱陶しそうに窓の外を見ようとした時
ゴンッ
と鈍い弾音が響いた
｢いッッッてぇーー！！｣
｢……｣
｢またやってんのかあいつら｣
千鳥が苦笑した先には動物の耳と尾が生えた所謂獣人が二人
この孤児院に住む豹と虎だった
先程の音は豹に派手に飛ばされた際に打ち付けた虎の頭かららしい
余程痛かったのか蹲っていたがすぐに起き上がる
｢兄貴！もっかい！！｣
｢うぜえ。｣
強くなりたいと勝負を申し込むがやはり相手を間違えているのではないだろうか
そんな二人を見て思い出す
路地裏で会った男はもしや獣人なのではないだろうか
だとしたら同じ獣人である彼らに聞くのが手っ取り早い
豹では話にならないので虎を呼ぼうとした
その時
｢ッ！？……あ、ァあ”！？｣
｢なっ…どうした亞琉斗！？｣
経験したことのない程の痛みが頭を襲う
あまりの痛さに悲鳴が漏れ持っていたコップを落とす
激しい目眩と嘔吐感
｢！……フゥリ！！｣
｢えっ！？フゥリさん！？｣
豹が走っていった方にはフゥリが倒れていた
亞琉斗と全く同じように頭を抑え涙も流している
しかし数分後には嘘のように頭痛が引いた
息を切らしている亞琉斗とフゥリを見て千鳥は首を傾げた
｢……亞琉斗？無事か？｣
｢…はぁ…げほっ……死ぬかと、思ったわ…｣
千鳥が亞琉斗を連れて1階へ行くとフゥリの幼なじみで同じく孤児院で親代わりをしているフゥトが立っていた
ぐったりしている亞琉斗を見てフゥトは察したように水を渡した
｢まさか亞琉斗君とフゥリ、二人同時に同じ症状に？｣
｢亞琉斗は体力あっからマシだけど流石にフゥリは気絶したか…｣
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作者名：灰猫 | 作成日時：2016年12月7日 5時
