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星が歓迎するように輝いていた夏の夜に俺は約束された国王としてこの世に生まれてきた

国の民は大いに俺の誕生を喜び、同時に俺の父の死に涙を流した
獣人は同じ時を同じ動物が生きることは無い
ライオンだった父はライオンである俺が生まれたので死に、獅の名が受け継がれ輪廻が動いたのだ

「ははうえ、おからだの具合はどうですか?」

「大丈夫。だって愛しい貴方に弟が出来るんですもの。ね、お兄ちゃん。」

「……おにいちゃん…」


幼い俺はただただ自分が兄になることを心から待ちわびていた


性への知識を得てから愛しかった母が亡き父以外の男と寝た事実を正直知りたくはなかったが





何はともあれ王女の子である
堕とすこともないまま、丁度俺の誕生から四年と一日後にそれは生まれた


真っ白な毛、母似の俺とよく似た顔だったらしい

それが少し成長した辺りで一体何の動物か
誰もが気になっていたこと



悪魔の悪戯には度が過ぎる

この世に有るまじき
二匹目のライオンの獣人だった



この世の理を無視した存在であるそれは隔離され俺は厳しい忠告を受けることとなる


「二人目の獅!?」

「忌み子だ、放っておけば国王様が危険だ。」

「この事実を民から隠せ!」



「良いですか獅様。貴方に弟はいなかった。」



王の血筋は決して抗うことなく先祖代々【獣】の王はライオンの獣人である
正真正銘、この俺が現王

この輪廻を断ち切ってはいけない

幼いながらも俺は獅の本能だろうか
全てを理解し事実に頑丈な封をした



勉学、武術に励み常に威風堂々とプライドを持ち民から厚く信頼を得て育った
この国で誰よりも強く賢く有らねば

周りから期待が掛かるほど責任感を感じるほど一層燃えたのは王の性だろうか


「傷増えましたね。知ってます?ライオンは傷が多いほど強いって。」

「努力の証だからな。……ところで羊、やはり敬語は違和感がないか?」

「何言ってるの!幼馴染みでも代々王と召使いなんですから。」


時折視界に牢屋が入ることも、
牢屋辺り一帯を重苦しい殺気が包んでいたことも、
そこに血の繋がりを持ったものが繋がれていることも、


俺の脳は知らないフリをした





そしてつい最近だ

繋がれていた檻が開け放たれていたことも、
忌み子にテオと名がついていたことも、
俺が蛇に毒を盛られ倒れたことも、

知ったのはそう昔の話ではない

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設定タグ:創作 , オリキャラ   
作品ジャンル:ファンタジー
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作者名:灰猫 | 作成日時:2016年12月7日 5時

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