【完全創作】Free Flower Life (ページ2)

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ガヤガヤと人混みが五月蝿い
だがどうにもそれが安心する

高いビルが立ち並び人々が忙しなく交差する

『ねー！みのりんが表紙の今月号買った！？』

『まぁた地震あったらしいぜ』

『やば！CV巽くんだって！』

行き交う人の間を器用にくぐり抜ける白髪青年
片目を包帯で覆っている

名を黒泉亞琉斗

彼は人から嫌われていた
理由は彼が一番理解している

ひん曲がった性格は昔から、簡潔に言えば問題児

｢よぉ亞琉斗！｣

｢俺に話し掛けんのはお前くらいだよ千鳥。｣

バイクの横に立つ青年はそんな問題児に爽やかに声を掛けた

｢たまには孤児院顔出せよ、フゥリが待ってるぜ。｣

彼らの接点は《孤児》と言うことだ
つまりは亞琉斗も

賑わった都会から少し離れた場所にその大きな孤児院はある

そして亞琉斗は3年前に自ら孤児院を去った

行かない、と言うつもりで千鳥を見るが強引にヘルメットを持たされてしまった
少し行ってアイツに会う前に帰ればいいだろう

しばらくバイクで走って思い出したように千鳥は待ってろと店に入っていった

最近話題の雑誌を頼まれたのか
あんなのどこがいいんだか
飾られた笑顔は金の為に無機質なカメラに向かって作られているくせに

正直暇になった亞琉斗はその辺りを歩く事にする

先程よりはビルが少ない
都会は空気が汚いとか聞くが、都会生まれ都会育ちには分からないもんだ

ふと、何か足元に違和感を感じる
下を見やると思わず息を飲んだ

大きめのヘビが亞琉斗の足の間をスルリと通ったのだ
ヘビは吸い込まれるように路地裏へと姿を隠す

大きく興味を注がれた亞琉斗も追い掛けるように薄暗いそこに入った

｢オマエ、黒泉亞琉斗だろう？｣

いたのはヘビではなく知らない男
ニタリと不気味な笑顔で笑う男

一瞬で悟った

コイツは会ってはいけない奴だと

しかし何故か逃げられない
この場を去る選択肢しかないのに金縛りように動けないのだ

浅くなる呼吸を整える

男の口から出るチロチロと長い舌は完全に人間のものではなかった

まるでヘビのよう

｢俺らと来ねェ？どうせその隠してる右目、普通じャねェんだろう。

嫌われ嫌われ、まだここにいんのかよ。

あー……でもオマエは、｣

近づいてきた男が何かを言い掛けた時、後ろから俺を呼ぶ声がした

スッと体が楽になる感覚
千鳥が来た時には男は消えていた

適当に誤魔化しバイクに跨ったが
あの男への疑問が一向に消えなかった