どこかで ページ3
カツン
乾いた音が響いて、私がハッとして足元を見たのと
その人影が振り返ったのは同時だった。
暗くてよく見えなかった足元をよく目を凝らして見てみると
空いた缶ビールの缶が５本。
蹴っ飛ばしたのは、私だった。
「・・・・。」
は！どうしよう、見られてる・・・
A「・・・ゴミ、ちゃんと捨てた方がいいですよ。」
こんな時に、つい正論を言ってしまって後悔する。
その影は私なんか無視して、また前を向いて歌い始める。
この酔っ払い。
なんでこんなに歌がうまいんだ。
片手には、まだ飲んでいるのかビールの缶。
前面に見える夜景を眺めながら、身体を左右に揺らしてる。
・・・帰ろ。
そう思っているのに
身体が動かない。
吸い寄せられるように、その後ろ姿の影に近づいた。
「・・・・なに。」
斜め背後に立っている私にようやく気付いたのか。
クイッとビールを飲むと、私の顔を見た。
A「１本もらえませんか。」
彼の脇に転がっている、新品の缶ビールを指差した。
「・・・・。」
彼は少し考えた顔をして、ぶっきらぼうにそれを差し出した。
我ながらなに言ってんだ。と思う。
赤の他人にビールせがんで。
でも、なんとなくまだ家に帰りたくなかった。
誰かと話したかった。
この場所でまた少し、思い出に浸りたかった。
理由なんてたくさんあった。
A「・・・何本飲んでるんですか？」
スーパーのビニール袋を覗き込んだ。
「分かんない。１０本くらい。」
１０本！？？
すごい・・・
お酒臭いはずだ・・・この人・・
「酒臭い、とか思ってるんでしょ。
言っとくけど、あんたも酒臭いよ。」
A「え！？？」
急いで、自分の服を匂うと彼はいじわるそうに笑った。
特に話すこともなくて、静かな夏の夜風の中に沈黙が流れる。
A「・・・どこかでお会いしたことありましたっけ？」
暗がりで微かに分かる顔は、確かに見たことあるような気がしたのに。
「・・・なに？ナンパ？笑」
その人はごまかすようにそう笑った。
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なお(プロフ) - 環琉さん» こちらこそ、読んで頂きありがとうございました！ (2018年9月25日 21時) (
レス) id: 460cbb2093 (このIDを非表示/違反報告)
環琉(プロフ) - なおさんこんにちは。いつも素敵なお話ありがとうございます。 (2018年9月16日 11時) (レス) id: 3c1ded918f (このIDを非表示/違反報告)
ミルクティ(プロフ) - こんばんは。一気に読ませて頂きました。今は亡き彼の墓前で「彼女を貰っていいですか？」って言うシーンには胸打たれました。チャンミンを良く理解しているギュのシーンも楽しかったです。最後は幸せな気持ちになりました。 (2017年6月8日 21時) (レス) id: 1eac5c6b24 (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - なつさん» なっちゃーーん！元気？こちらは元気よ。仕事忙しいっす。相変わらず新作も書くことなく。でも暇だから（笑）見直して修正しちゃう。待たせる時間もドＳだからね。ちょっとずつ。苦しくなる、超重い話が書きたい。最近私病んでるからねw (2017年3月17日 22時) (レス) id: b5966abb7b (このIDを非表示/違反報告)
なお(プロフ) - hakuさん» わー！すごく嬉しいです。コメント苦手なのに送ってくださってすごく励みになりました。最近更新ないですが、また現れたらこっそり遊びにきてくださいね。こちらこそいつもありがとうございます！ (2017年3月17日 22時) (レス) id: b5966abb7b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：なお
| 作者ホームページ：https://twitter.com/630HiTVXQ
作成日時：2014年6月5日 13時
