「Yuki」 (ページ44)

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43 - i side - ページ44

助手席が空くことが嫌だと思ったことは正直無い。

ただ、Aが助手席に座っているという事実を
個人的にもう少し堪能したかっただけ。

なんてことは横に座るこいつには伝わることもない。

後ろでわいわい騒ぐふっかと
隣で笑うA。

まあ、ふっかの性格は理解してるつもりで。

Aのことを好きなことなんて
隠すつもりもないんだろうな。

それはもう一人のB型にも言えることで。

目黒とふっかは、
俺が言うのもなんだけど強敵なことくらい百も承知。

あんなに好意がだだ漏れなのに気が付かないAも相当の鈍感。

f「照あんがとね」

i「おう」

ふっかのマンションの前まで送れば、
隣で手を振るAと、車から降りて手を振るふっか。

i「じゃあ、行くか」

「うん」

i「お腹はどうよ？」

「あ、治ってる。気が付かなかった」

i「ははっ、なんだよそれ」

「楽しくて。ありがとう照くん」

i「どういたしまして」

車を走らせている途中、

窓の外を眺めるAの横顔が綺麗だと思うのはもう仕方ないと思うんだよな。

まじで可愛いんだもんこいつ。

本人にそれが言えたら楽だけど。

俺はふっかみたいに言えるようなタチではない。