「Yuki」 (ページ26)

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f「よーし、帰るか〜」

仕込みも22時までに終わったらしく、
今日はみんなでぞろぞろと帰宅する。

mr「はい」

「あ、ありがとう」

みんなの分の食器を洗っていた私の荷物を持ってきてくれていた蓮くん。

mr「洗ってくれてありがとう」

「どういたしまして」

こういうさりげない言葉や優しさを人にあげられる人って素敵だなあ。

5人でワイワイしながら駅の近くまで歩いて、

電車で帰る舘さんと先に別れてからは私の隣で歩く蓮くん。

「あ、蓮くん」

mr「ん？」

「今度シフト入ってない日で暇な日あったりしない？」

mr「今度…、えーっと明後日？」

「本当に？ちょっと付き合って欲しいんだけど…」

mr「良いけど何すんの？」

「それはLINEでお伝えします。ほら、もうバイバイだからさ」

mr「…あぁ、じゃあまた」

「じゃあね」

ふっかさんと前を歩いていた阿部ちゃんは

同じ方向に帰る蓮くんを待っていて、

ふっかさんは逆に私を待ってくれていた。

逆方向の2人に手を振ってからは
照くん同様、私を送り届けてくれるふっかさん。

このバイトの人は割と過保護らしい。

「ふっかさんも照くんも毎回送ってくれなくても良いのに…」

f「もともと家近いんだし良いのよ。そんなこと気にしない」

「でも、」

f「Aちゃーん？ここは素直にありがとう、でしょ？」

私の顔を覗き込んでニヤッと笑う。

「あり、がとう」

f「ん、よく出来ました」

「チャラ男め」

f「おっと？こらこら、チャラくねえわ！」

「うそうそ、いつもありがとうふっかさん。私、ふっかさんのお店で働けて嬉しいよ」

f「それは康二に感謝だな」

「だね！」

他愛の無い話をしてしっかりマンションの前まで送ってくれたふっかさん。

いつものごとく私がマンションに入るまで見送ってくれる優しさ。

最後に振り返っていつものごとく手を振ると満足して帰っていくから、それを私も見届ける。