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久しぶりに口にしたホットケーキは、ミンギュ特製だからなのか、格別に美味しく感じた。ブルーベリーソースの甘酸っぱさと、ホイップクリームの優しい甘さがマッチしてより一層ホットケーキの美味しさを引き出してくれている。
作ってくれたミンギュに美味しさを伝えようと顔を上げると、彼は私の顔を見て気持ちを読んだのか、嬉しそうにクスクスと笑っている。
「…A、」
ホットケーキを半分ぐらいまで食べ進めたところで、ミンギュが私の名前を呼んだ。温かいうちに飲み切ろうとしていたラテを机に置く。
「昨日、課長に呼ばれてさ。俺、1課に推薦してもらえることになったんだ」
まだ確定じゃないけど、と呟いたミンギュだけど、彼の成績なら全く問題ない。3年で1課に昇進は例にないほど早いけれど…それでも、ミンギュの頑張りを見ていたら、誰もが『ようやくか』と納得すると思う。
それと同時に、仄かな寂しさを感じたけれど、やはり喜びの方が大きかった。
「すごいじゃん、おめでとう！」
そう答えると、ミンギュが私の顔をじっと見つめてくる。
ナイフとフォークを机に置いた彼の大きな手のひらが、私の手を取った。
「勿論昇進は嬉しいけど…2課の人達が好きだし、お世話になったし。Aの隣のデスクもお気に入りだから」
「隣同士じゃなくなるのは寂しくなるね」
するりと出てしまった私の本音に彼が頷いて、私の手をぎゅっと握りしめてくる。
「まぁでも、明日すぐに異動！って訳じゃないから。3ヶ月後ぐらい？」
「3ヶ月はまだお隣さんか。じゃあ、異動までは宜しく」
「ちょっと！異動してからも仲良くしてよ！？」
『仲良く』というのは、恋人としてではなく同僚として、という意味だろう。私はミンギュの手のひらを握り返して「はいはい」と頷く。
ホットケーキも冷める前に食べようと、彼の手を離した。
ほんとにさぁ…とブツブツ呟くミンギュを他所に、ホットケーキを口に入れる。
「昇進するからってなんでミンギュと不仲になるの」
少しぬるくなったカフェラテも悪くない。ミンギュの方を見ると、確かにそうだ、と笑って彼もフォークとナイフを手にしている。
「それに、もうデスクが隣じゃなくてもミンギュは隣にいてくれるから」
ホットケーキを切っていた彼の手が止まる。
「え、何？俺にホットケーキを食べさせない作戦か何か？」
動揺しているのか早口になったミンギュの耳の端が少し赤くなっている。
否定しても絶対そうだって譲らない。
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夏目(プロフ) - エルさん» エルさん、いつもいつも本当にありがとうございます(；；)一番試行錯誤した会社員ミンギュの現実感をお褒めいただけて胸がいっぱいです…！本当にいつも、私の伝えたいことや拘りを綺麗な文章にしてコメントを下さり、ありがとうございます！次作も頑張ります！ (2021年10月16日 21時) (
レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - まずはお疲れさまでした！繊細な感情のゆっくりとしたステキな描写が大好きだったので寂しい気持ちもあり、幸せな2人を見て満足な気持ちもあり^_^会社員のミンギュになんか現実感満載で←これ凄い 更に楽しめました！ありがとうございました^_^新作楽しみにしてます！ (2021年10月16日 2時) (レス) id: 2a8565ccfe (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - あやちょるさん» あやちょる様、定期的にコメントしてくださりありがとうございました！そう言っていただけて、本当に嬉しいです。こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございました(；；)次回作も頑張ります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
夏目(プロフ) - まるさん» コメントありがとうございます。最後まで楽しんでいただけてとても嬉しいです。私もまる様のコメントに安心して、心温まりました…次回作の応援までありがとうございます。これからも励んでまいります！ (2021年10月15日 20時) (レス) id: e14acee8c3 (このIDを非表示/違反報告)
あやちょる(プロフ) - 最後までお疲れさまでした。更新が毎回楽しみな作品でしたので、終わってしまうのが寂しいですが…素敵な時間をありがとうございました!新作も楽しみに待ってます! (2021年10月15日 16時) (レス) @page50 id: 702326c54a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：夏目
| 作成日時：2021年8月30日 7時
