１１６ ページ21
Ryuto side
「チャーハンにガムシロップってかけるの？」
そんなことを貴女と笑い合う
こんな時間が永遠に続かないことぐらいは分かってる
チャーハンを食べ終え
貴女がプールに足だけを入れて「つめたっ」と笑う
貴女の笑い声につられて
俺も貴女の横に腰掛け、プールにつま先を入れる
少し風が吹くと
プールに波がたって、プールに映っている月光が揺れる
さっきまであんなにはしゃいでたのに、プールにたつ波を見つめる貴女は何も言わないから、世界に俺と貴女しかしないんじゃないかって錯覚しそうになる
その静けさが、俺にタイムリミットがあることをまた感じさせるから
俺は口を開く
「先生、来週の月曜から、俺、仕事だから、
だから先生に会うのはたぶん、今日が最後」
そう言うと「そっか、お仕事か」と貴女は言ってプールにいれているつま先を見ながら少しだけつま先を動かしプールに波をたてた
すると何も言わない俺に
「みんな白鳥なのかも」
そう先生は唐突に言う
「だって作間くん、ローラ―でアクロバットするんでしょ」
貴女は俺の方を見て聞く。「今朝ね、ニュースで見たの」なんて言いながら。
そしてプールに目線を戻して言葉を続ける。
「私からしたら超人だよ？
でもそれを何食わぬ顔でやっちゃうんだもんなぁ
絶対いっぱい練習してるんだろうなって
でも、その頑張りをみせないようにして…
どんなに水上で優雅に羽を広げていても水面下ではもがいているようにさ」
そう貴女は言った。
人一倍、頑張る貴女だから、人の見えない“頑張り”を見つけてくれる貴女だから。
「やっぱり頑張った頑張っただけ手が届くと思う」
そう貴女が言うから
俺も
もう少し頑張ってみようと思うのです。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 332人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ポップコーン(プロフ) - しいきさん» 読んでくださってありがとうございます！私の伝えたかったことがしいきさんに伝わってくれて嬉しいで す！次の作品もまたしいきさんの心に刺さる作品になるように頑張りたくなりました！ありがとうございます！ (2019年7月3日 0時) (
レス) id: 087a930aec (このIDを非表示/違反報告)
しいき(プロフ) - 今日読み始めて一気読みしてしまいました。私は作間くん側の立場ですが自身の境遇と少し重ねちゃって、でも出てくる人物みんなが一生懸命に自分らしさや葛藤と戦う姿輝いていて素敵でした！またさわやかな青春のお話待ってます！ありがとうごじいました！ (2019年7月2日 19時) (レス) id: 199e39e6a9 (このIDを非表示/違反報告)
ポップコーン(プロフ) - みどりまんさん» お気遣いありがとうございます！そして、小説の言葉たちもうけとってくださってありがとうございます！“運命”つかみにいってほしいですね！ (2019年7月2日 18時) (レス) id: 087a930aec (このIDを非表示/違反報告)
みどりまん(プロフ) - 完結お疲れさまでした!めうさんの言葉一つ一つにいつも助けて頂いています。龍斗くんの運命も叶うといいですよね (2019年7月1日 18時) (レス) id: 62c1352e89 (このIDを非表示/違反報告)
ポップコーン(プロフ) - りおさん» 以前にもコメントをくださったり、そんなりおさんからのコメントなどのおかげで完結致しました。こちらこそありがとうございます。作間くんの“儚さ”をちゃんと描けて大満足です。次の作品でもお会い出来ること楽しみにしています。 (2019年7月1日 10時) (レス) id: 087a930aec (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ポップコーン | 作成日時：2019年6月24日 14時
