すれ違う思い�� ページ41
千寿郎side
五日間ほどAさんから避けられる形となっていた事もあり、兄は自分のしたことに原因があると感じたようだった。
二人の間に何があったかは、先程の会話を聞いて予想をつけることはできたけれど すれ違っていく思いを前にし、それは勘違いなのだとわかっているのに 僕は足に根が生えたようにその場から動けないでいた。
ーーこれが男女の修羅場というものなのか…
兄上は長期任務で家を空けるという選択肢を選び、台所から出てきた。
いつもならこんな傍にいる僕の存在に気付くのに、今はそれに全く気付いておらず……初めて見るその悲しそうな表情をしたまま任務へと出掛けてしまった。
台所からシクシクと泣くAさんの泣き声が苦しくて切なくて、どうにも声をかけることが出来なかった。
ーーあの時、僕を助けてくれたのに 今、こうして大好きな人が苦しんでいるのに、僕は何もしてあげられない。
◆
煉獄さんが任務に出ていってしまった日の夜、私は自室の机に向かってボーッと放心状態で椅子に座り通していた。
泣き腫らした目が重く、鏡を見なくとも凄い顔になっていることがわかる。
鼻水もまだ少し出るけど、だいぶ治まった。
ーーー煉獄さん…。
目に浮かぶのは、元気いっぱいの煉獄さんのあの笑顔や、元気いっぱいのあの声だった。
ーー私の行動のせいで、煉獄さんに嫌な思いをさせてしまったんだ。
大好きなのに、真逆の意味で捉えられて それが違うんだと否定も出来ず、自分の意見も言えずに居なくなってしまった。
もし、もう二度と帰ってこなかったらどうしよう……。
ーーそんなの嫌だ！！！
煉獄さん、ごめんなさい……。
もう、あんな子供みたいなことしないから帰ってきて欲しい……。
届くはずのない思いを胸に、私は裁縫道具を手に取った。
それから4時間ほどかけて、私はあるものを作っていた。
『できた！！！』
ーー作っていたのは いらない布と綿を積めて作った手の平より少し大きめの煉獄さんを模した人形だった。
裁縫は小さい頃からしていただけに、我ながら上手く出来たのではないかとそれを両手にとると クスリと笑みが零れた。
手作りの人形の煉獄さんは、元気いっぱいの顔で私に微笑んでくれている。
『ごめんね、煉獄さん……』
人形にそう呟いても、もちろんの如く 返事はしてくれなかった。
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シレン(プロフ) - Lastさん» ご指摘ありがとうございます！いやいや、お恥ずかしい！！すぐ治します！！ (2020年11月1日 1時) (
レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - この作品いつも読んでます！！ただいま�，覇�輪刀が日輪等になってましたよ。これからも投稿頑張って下さい！！ (2020年10月31日 23時) (レス) id: 7e2a5ee326 (このIDを非表示/違反報告)
シレン(プロフ) - よるさん» コメントありがとうございます！くっつくまでの過程が大好物です！！ (2020年10月31日 22時) (レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
よる - 焦ったい…大好物です！！！ (2020年10月31日 21時) (レス) id: 857d9d8983 (このIDを非表示/違反報告)
シレン(プロフ) - ましゅさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけるように頑張ります！ (2020年10月30日 14時) (レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シレン | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16108143
作成日時：2020年10月26日 3時
