愛した人�� ページ29
｢顔を上げろ。｣
『！！』
その声にビクッと身体を震わせ 恐る恐る顔を上げると、まだ背中を向けた状態だったが胡座をかいている体勢に変わっていた。
『あ、あの、軽食を用意してきました』
｢…………。｣
ーーどうしよう。怒っているのかな……？
額に汗が滲むのを感じながら返答を待っているとお父様がやっと重い口を開いた。
｢…老人じゃないだけマシだな。｣
ーーこわすぎる！！
煉獄さん達からは想像できない荒み用に驚きを隠せなかった。
｢置いて出ていけ。｣
と、お父様が少し横顔をちらりと見せ……
そして、目があった。
槇寿郎side
千寿郎から新しい女中が来たと話は聞いていたが、何の興味もなく話を流していた。
ーーどうせすぐ辞める。顔と名前など覚える必要も無い。
……全てがどうでもいい。
自分の目指していたもの、守りたかったものがこの世からいなくなり、俺は生きる意味を見い出せずにいた。
ーー瑠火が死んでからというものの感情の自制が効かなくなり、愛したその子供達に対しても酷い言葉や態度を浴びせ、後戻りはもうできないのだと半ば諦めていた。
何も考えたくない。
この状況も。子供らのことも。瑠火のことも。
ーー酒を浴びるように呑み、思考を鈍らせなければ生きていられない。そんな状況がかれこれ五年以上経過していた。
そして今、子供らでさえ近付きたくもないであろう我が部屋に新しく来た女中が挨拶をしにと部屋を訪れていた。
声質からして17.8といった辺りの年齢であろうか。
挨拶も何も大分緊張しているのか口が回っていない。
そんなひ弱な娘など すぐにここから逃げ出すに決まっている。
ーー気配を探ると、その女はまだ頭をさげたまま黙り込んでいるようで 頭を上げるようにとわざわざ言わないと次の行動も起こせぬのかとイラつき、重い身体を起こして座り直した。
早く出ていってほしいと、飯だけ残すようにと少し振り返り姿を確認すると
かつて俺が生涯をかけて愛し、守り抜くと誓った最愛の人の姿が見えた。
｢……る｣
『え？』
ーー違う。
酒の飲みすぎで視界も歪んだと、再びその女中の顔をもう一度と確認をした。
『！！！』
目が合うと、そいつは身体を強ばらせて固まっていた。ーー瑠火のような真の通ったような表情ではないものの、切れ長の目や鼻口、白い肌は少しばかり似ていたが瑠火よりも少し抜けたような顔つきだ。
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シレン(プロフ) - Lastさん» ご指摘ありがとうございます！いやいや、お恥ずかしい！！すぐ治します！！ (2020年11月1日 1時) (
レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
Last(プロフ) - この作品いつも読んでます！！ただいま�，覇�輪刀が日輪等になってましたよ。これからも投稿頑張って下さい！！ (2020年10月31日 23時) (レス) id: 7e2a5ee326 (このIDを非表示/違反報告)
シレン(プロフ) - よるさん» コメントありがとうございます！くっつくまでの過程が大好物です！！ (2020年10月31日 22時) (レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
よる - 焦ったい…大好物です！！！ (2020年10月31日 21時) (レス) id: 857d9d8983 (このIDを非表示/違反報告)
シレン(プロフ) - ましゅさん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけるように頑張ります！ (2020年10月30日 14時) (レス) id: 5c1c19fa9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：シレン | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16108143
作成日時：2020年10月26日 3時
