無我夢中 ページ11
待ち合わせた場所に現れた健二郎は
キャップとマスクとそれから眼鏡の
見事なまでに芸能人スタイルで
けど.勝手知ったるスタッフさんはすぐに個室を準備してくれた
_芸能人だね_
そう言った言葉には悪意なんか何もなかった
けど
_芸能人やもん_
そう笑う健二郎の目は少しだけ寂しそうだった
『…あれから色んな事考えた』
お絞りで手を拭きながら先に言ったのは健二郎
"何食う" そんな流れで吐き出された言葉に
私の体はまたガツンと強張ってしまうのを感じた
『俺の気持ちは別として、お前は三代目…をどう思うてんの?』
最初の質問はそんな予測し得ないもので
すぐに答えは出せなくなったけど
それでも考えた
考えて考えて
アホになるんと違う?ってくらいに考えて
でも。答えは何も出せなかった
三代目…それは健二郎の仕事
三代目…それは健二郎を遠くに連れてったモノ
それでも三代目…心から応援したいと思うモノで…
考えたら考えるほど解らなかった
_『前にお前は言うたよな?俺が三代目やからアカン…って。そんで俺が三代目やから俺らは別れたよな…』_
1つ1つ。
健二郎から出される言葉は間違いなく真実
でも思った
「…でも三代目でいてくれたからこうやってまた逢えた…」
"健二郎が三代目でいてくれたから
コンサートを通してまたこうやって逢えた"
ははっ
いつもみたいに笑う健二郎の笑う声が響いた
_ホンマに三代目ってなんなんやろな…_
そう言った健二郎の顔は
今度は寂しそうなモノ…じゃなかった
なんだかおかしそうに笑って
"時々ホンマに自分でも分からんくなってまうわ" そう言ったそれが…
その言葉が…
紛れもなく健二郎の本音…だったんだと思う
『俺はこれからも三代目やで?…そこは何も変えられへんで…?』
確かめるように問いかけた健二郎が
なんだか近付いてきてくれた氣がして
だから私はそこでやっと
_関係ない…健二郎は健二郎だもん_
ずっと言いたくて
それでもずっと言ってあげられなかった
そんな一言をようやくにして伝えた
感情溢れて
あのねから "あんな" に変わった私の口からは
_何度も忘れよ思うた
ホンマに苦しくてもうイヤやて嫌いになってしまいたかった
けど
無理やった
…うちには健二郎だけしかおらんかった… _
そんな言葉が止めどなく溢れて
そんな私に健二郎は "兄妹やな"って笑った後
お前の気持ちはよぉ解った…って。
ありがとな… って。髪を撫でてくれた
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nonmama(プロフ) - 突然コメント失礼します。健二郎さんメインのお話、以前にも読ませていただいていたのですが、あらためて読み返させていただきました。私も冬物語が1番好きな曲で、歌詞もMVも大好きです!さらに関連作品読ませていただきたいと思います。素敵な作品でした\(^o^)/ (2020年11月27日 13時) (レス) id: 7c869ac398 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - あやみさん» コメントありがとうございます☆同世代…なのかな?だといーなと思います!世界でいちばん愛する人。健二郎作品なのでコメント貰えてとても嬉しいです!コメント本当にありがとうございます☆ (2019年11月7日 18時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
あやみ(プロフ) - もしかして、同世代??(笑)と、思いながらあっという間に読み終わりました。 なんか心が洗練された感じでした(笑)ありがとうございました。 (2019年11月7日 16時) (レス) id: 2d5a001c82 (このIDを非表示/違反報告)
sachi(プロフ) - 梨香さん» 確かに言わなそうだね。言葉なそんなないけど、包んでくれてるんだろな~と勝手に想像。この温かい気持ちでまた最初から読むね~。 (2019年9月4日 12時) (レス) id: c2612b7e58 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - sachiさん» なんか健二郎ってシアワセにするとか言わなさそうだなと。そんな式にしてみました!満足してもらえたなら光栄です☆ (2019年9月4日 9時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:梨香 | 作成日時:2019年8月31日 19時