キスシーン ページ34
入らなかったその指輪は
細いチェーンに通して
私はそれをネックレスにして身に付けた
指には嵌まらなかったけど
それは私の胸元で健二郎の存在を私に示してくれて
だから私はいつだって健二郎の傍に居る気がしていた
すぐに逢えない.そんな距離は相変わらずだし
話せる時間も少しずつ減っていたけど
それでもその指輪が私の気持ちをいつだって支えてくれた
でも
本当に強くなれた訳じゃなかったんだと気付いたのは健二郎が "俳優" としての活動を開始した時…_
私と健二郎の繋がりを知らない友達が
"梨香この健ちゃん最高だったよ？見た〜？"
ニコニコと嬉しそうにyoutubeを開いた時＿
携帯の小さな画面に移る
健二郎の着物と、眼鏡と
そして…キスシーン……
「…ｯｯ⁉」
衝撃で言葉がなんにも出てこなかった
一生懸命。頭の中
コレは健二郎じゃない！って変換しようとした
けど。
眼鏡の下の切れ長の瞳も
セリフをなぞるその声も
紛れもなくそれは健二郎で
変換しようとしたシーンはそのまま
健二郎と女優さんのキスとしてアタマに焼き付いた
…今すぐに泣きそうだったのは
多分。
私にはまだ三代目."パフォーマー"としての健二郎しか知らなかったから…
『…梨香?…ゴメン…』
友達に悪気があった訳じゃないのも
これが健二郎の "仕事" なんだってことも
頭では理解してた
ただ。心が追いつかなかった…
一気に怖くなってしまった
これからもこんな事かあるのかな…そう思うと
一気に怖くなってしまった
『…泣かないで…そんなに健ちゃんファンだったんだね…』
私の腕を掴んで不安な顔をしている友人
…ファン…
ファンなんかじゃないよ…って言えない私は
大丈夫…
ゴメンね…
ちょっとびっくりしただけ… そう笑おうとした
もちろん全部ウソだった
大丈夫なんかじゃ全然なかった
画面の中
長いキスをしている健二郎の横顔
ボロボロと涙が出てきてしまいそうで
思っきり目を逸らしてしまったのは
純粋に痛くて、単純に傷ついていた
仕事だよ
仕事だよ
仕事なんだよ…
言い聞かせる度に健二郎の仕事が解らなくなりそうだった
理解してた気持ちがボロボロ破壊していく気がしていた
健二郎の唇に重なる
誰かの唇
また健二郎が知らない人に見えた
初めて健二郎のキスシーンを見てしまった私は
自分でも驚くほどに
健二郎をだれにも触れさせたくない
…それほどまでに独占欲の強い女になっていた…
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梨香(プロフ) - にゃりんさん» あと。楽しんでくれて本当にありがとう…この作品は私にとってSpecialなので褒めてもらえるとホッとするよ (2019年8月28日 18時) (
レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - にゃりんさん» いひひ。最後はどーなるのかなぁ（笑）…女の子が夢中で健二郎を好きなコトと情景がいい塩梅に描けてたら嬉しいな…☆ (2019年8月28日 17時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
にゃりん(プロフ) - 梨香さん» なんかね、恋愛に純粋だった頃を思い出すね。にゃりんぐらいおばちゃまになってから読むと心が洗われるね(笑) 日記っぽく書いてるから余計かな〜。終わりは日記調じゃない方がよりリアルかも！ なーんて偉そうに言ってみたけど、つまりは楽しく読んでます(爆) (2019年8月28日 17時) (レス) id: 71dba2f90e (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - にゃりんさん» にゃーちゃんだからこそ聴きたい！この作品どんな？ (2019年8月28日 12時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
にゃりん(プロフ) - 梨香さん» なるほどね〜♪等身大のお話だからリアルなんだね！！それを踏まえてもう一度読みなおそーっと(笑) (2019年8月28日 12時) (レス) id: 71dba2f90e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梨香 | 作成日時：2019年8月27日 11時
