_4 ページ35
それから次の講習からは
私は隆二以外の講師を選択して免許取得に励んだ
そうだよ
そもそも此処へ来たのは恋をするためじゃない!
仕事に必要な免許を取得するためなんだから！
だから隆二の事なんか
簡単に…そう。簡単に忘れられるに決まってる!
今日の講師は…誰になるんだろ…
出発地点が3番だから行ったら解るな
そう思って3番…出口への階段を降りた私の瞳に
「…なんで…?」
映ったのは隆二で
隆二は私の名簿をバンバンと手のひらで何度か叩いて
『…なんで避けんの？』そう聞いてきた
「……避けてなんかないよ別に…」
必死で言ったけど
カタコトみたいになってしまって
「それよりなんで3番に隆二ｯ…今市先生がいるの？」
慌てて問いかける私に隆二はなんの迷いもなく
『変わってもらったから…？』って言った
_"それより隆二…って…勝手に呼び捨てかよ"_
ふはっと笑うふにゃんとした笑顔
たまらないな…と 思ってしまった私が残ってた
まだ、ツキんと心が痛んでしまう私も残ってた…
そして
まだ …好き…って思ってしまう私も…残ってた…
だから
「…あのさ…」思い切って呼びかけたのは
今、思い返したら1種の賭け…だったかも知れない
『なに？』
まだファイルをバシバシしながら私に振り返る隆二の不思議そうな顔
雪が振り始めそうな曇天の下
階段の中段と下段で向かい合う私と隆二
どうにでもなってしまえ！…心から思った
そしたら
「…私…隆二のコト…好き…結婚してようとしてなかろうと関係ない…」
そんな言葉が意外とスルスルと簡単に零れた
周りの人達が "何事?" とでも言うように
私達の事を見て行くから
急に今、此処が教習所で
みんながいて、ふたりきりじゃないコトを思い出して
だから私は、慌てて階段を駆け下りて
「とりあえず車乗ってｯ」そう隆二に言った
そして
発信していく車の中
「…勢いだったけど…さっきの…本音だから…」
私がぼそっと言ったら
隆二は
『とりあえず聴いてなかった事にしとく』ってはぐらかせるから
だから
キキーっっ
割と強引にブレーキを掛けて車停めて
「フってくれていいよ…振られることなんか覚悟してるよ…けどさ…聴いてなかった事にしとくって何？…言ったよ私…言ったよ好きだ…って…今、聴いてるじゃんｯｯ…聴かなかったなんて…ズルい…」 そう隆二を振り返った
そしたら隆二は困ったような
そして寂しそうな…そんな顔で笑ってた
何よ、その顔…
そんなの…いちばんズルい……
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 140人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「登坂広臣」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
梨香(プロフ) - atokさん» こんにちは！コメントありがとうございます！春夏秋冬４つの話を考えた時、隆ちゃんは切な系にしよう！と考えていたのでそんなお言葉本当に嬉しいです！これからもよろしくお願い致します！！ (2019年10月20日 11時) (
レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
atok(プロフ) - せつない冬の恋物語が暖かい涙のラスト良かったです。車を運転する隆二さんの腕。ずっと見ていたい！ (2019年10月20日 3時) (レス) id: b336124363 (このIDを非表示/違反報告)
sachi(プロフ) - 梨香さん» 梨香ちゃん、こんにちは。う~うん、全然いいよ。泣きようなお話になるかな。梨香ちゃんのペースで楽しんで書いてね♪。よろしくね(*^-^*)☆ (2019年10月18日 12時) (レス) id: c2612b7e58 (このIDを非表示/違反報告)
梨香(プロフ) - sachiさん» さち！おはよう！返信おそくなってごめんね。新作はぼちぼちと進めていく予定！健二郎ファンのさちには悲しいお話になるかもだけど、これからもよろしくね！ (2019年10月18日 9時) (レス) id: 64c500100f (このIDを非表示/違反報告)
sachi(プロフ) - 梨香さん» えへっ(*´∀｀)梨香ちゃんの書くお話ほんと好きだし☆新作、健ちゃん！ありがとう( ；∀；)嬉しい♪またワクワクして読んでいくね！ (2019年10月12日 16時) (レス) id: 1986c7b750 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：梨香 | 作成日時：2019年9月28日 0時
