第１話 ページ3
機械音が鳴る、夜にかけていた目覚まし時計が
けたたましくなり始めた
うるさい…
時計に向けて手を伸ばすが的外れな場所で全然かすりもしない
やけになり、拳を作って的外れな場所を叩く
すると、時計が乗っていたチェストの上から床へと落ちた
その衝撃で音は静かになった
「ふああ…よく寝た…
もうちょっと音を小さくしないと毎度落としてると壊れちゃうや…」
彼女は慣れない部屋なのだろうか、立ち上がってから
箪笥に向かう最中に家具に足をぶつける…
足の指から体の芯まで振動と痛みが走る
声にならない痛みとはこれ…
「っ〜〜…！！
洋服ー…」
痛みと戦いながらようやく手につかみ
着替えを始めた
新しく新調した緑色の軍服に
NAの紋章がキラリと輝くそれを見て気分が上がる
そして、自分の顔をまじまじと…
全身を鏡で映した
「…懐かしいな…
初めての時もこんな高揚感だった
でも、これは復帰後、あんなことをした後の復帰だ
身を引き締めて努めなければ…」
顔をパチンと叩くと気合を入れて拳を両手で作った
荷物を持ち、ドアを開けてカギを閉めた
踏み出したその足は通りへと運ぶ…
あの日から、今日で５年が経とうとしていた
ゾンビの殲滅作戦は無事に終了して
それ以来今日まで５年もの間、大きな出来事はなく
平和な日常が流れていた…
５年前のあの作戦は「感染者大量殲滅作戦」と名付けられている
略してKTS戦と多くのものがそう呼んだ
「よし、本部についた
外見も変わったな…まぁそれは無理もないか…」
「おはようございます、失礼ですが
入館証はお持ちですか」
「え、入館証…証…
えーと…あの…今日から配属されたんです
なので入館証は…」
その時、後ろから男の人がやってきて
自分の入館証を警備の人に見せると入っていく
そして、後ろを向いてこっちを見た
「…えーと…助けてもらっていいですかね…」
「…お前、名前は」
「Aです！」
「あぁ…話は聞いている
安心してくれ、彼女は今日から配属された新人だ
通してやってくれ」
「分かりました、入館証は作ってもらってくださいね」
「わかっている、来い」
あの…私新人じゃないですけど…という言葉は飲み込んで
男に尋ねる、これからどこに行けばと
「へっ！？ あっ、えーとだな…
まずはNAの最高責任者のところに行く…」
「…」
なんだろう、すごい冷や汗が出てる…
なにか体にあたるものでも食べてお腹でも痛いのだろうか…
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