第202話 マジでいい奴 ページ20
大空戦があった日の午前中、無事キョンちゃん'sから解放されていたランチアに会った私は、おチビさんの幻術によって隠されていたランチアのファミリーやランチア自身に関する記憶をもとに戻した。
「三浦ユキ、その節は助かった」
『礼を言う必要はないよ。私は当然のことをしただけだから』
「ふっ……そうか」
顔色も随分と良くなっていて、安心した。
彼も、彼のファミリーも本当にいい奴らでね、マのつくおっさんどものくせに中々面白かったよ。
「……ランチア」
何か言おうとして、けれど戸惑って視線をあちこちに泳がせるおチビさん。
「骸……おまえに操られる前、共に過ごした時間はオレにとってかけがえのない時間だ」
「！！」
「おまえたちがどこかマフィアに嫌悪感を抱いているのも、なんとなくわかっていた。だが、ふとした瞬間にオレたちに見せた表情に嘘偽りはなかった……違うか？」
責めるでもなく、憤りを口にするでもなく、兄が弟を見るような雰囲気で問いかけるランチア。
【マジでいい奴だな】
本当にね。
おチビさんも当然それを感じ取っていて、少しは絆されていたんだろう。
「……ええ、そうですね……確かに、貴方たちと過ごした日々は悪くありませんでしたよ」
原作ではランチアをマインドコントロールして彼のファミリーを惨殺させ、それから暫く他のマフィアどもを潰していた骸だったけど……私の弟子であるおチビさんは原作とは少し異なった道を歩んだ。
【それにはユキの影響があることは間違いないが、それだけじゃない】
ランチアとそのファミリーも、おチビさんの心に影響したんだ。
「ランチア、その…」
「なんだ、骸」
言い淀むおチビさんを優しい目で待ってやるランチア。
「貴方を……貴方の意思と自由を奪ってしまい、すみませんでした」
美しいオッドアイの奥深くに少しの不安を見え隠れさせながらの言葉を、ランチアは破顔して受け止めた。
「ああ。許すさ」
おチビさんたちの師匠で、保護者である私が謝罪するのは当然だけど、当事者である骸本人も悪いことをしたのだから謝らないとね。
『ふふ。その顔、小さい頃と変わらないね』
「そうだな」
「なっ！ その微笑ましいものでも見るかのような顔はやめてください！」
『おチビさんったら微笑ましいなぁ〜』
「ちょっと師匠ッ！！」
人生は間違いばかりだ。
それでも立ち止まっている暇はない。
時は絶えず進んでいくのだから、今わかってくれたらいいよ。
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霽月(プロフ) - 緋雨さん» ありがとうございます!! お陰様でなんとか完結させることができました。いつもコメントありがとうございます。たまに番外編ものぞいてやってくださいね。これからも精進します!! (2019年8月30日 21時) (
レス) id: a6fc521fe8 (このIDを非表示/違反報告)
緋雨 - ハル姉 完結おめでとうございます！！ ユキちゃんとスクアーロの結婚式 読んでてとても面白かったです！！ 今までとても素敵なこの作品を書いてくれてありがとうございます！ お疲れ様でした！ (2019年8月30日 20時) (レス) id: abe5765737 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霽月 | 作成日時：2019年6月17日 23時
